親潮はどんな流路になっているの?(親潮ウォッチ2015/7)

2015年2月6日号と、4月10日号の解説では、黒潮のどのような位置(流路)を流れるのかを解説しました。今回は親潮の基本的なパターンについて解説します。

図1はJCOPE2で計算した、北海道・東北沖の、2015年6月27日の海面での海流(矢印)と温度(色)の状態です。北海道から東北まで東岸を北から南へ流れている海流が親潮です。親潮は北から南へ冷たい水を運ぶ寒流です。

親潮は東北沿岸まで流れた後、岸から離れて東へ流れて行きます。岸から離れた後は、多くの場合、東へ流れながら北向きに流れ、その後南向きに流れ、また北向きに戻るという蛇行した流れのパターンをとります。親潮をはさんで北に亜寒帯の冷たい水(図1の青っぽい色)が存在するので、親潮の蛇行パターンによって冷たい水が南まで伸びた場所が2箇所存在することになります。この2箇所の冷たい水が南に伸びているところは、日本の岸の近くからそれぞれ、親潮第一分枝(沿岸よりの分枝)親潮第二分枝(沖合の分枝)と呼ばれています。

親潮第一分枝親潮第二分枝の間は冷たい海水が北に引っ込んでいます。この領域は、2015年5月22日号で解説したように、南の黒潮の領域から来た暖水渦が北に流れて行きやすい場所でもあります。

これらの、親潮第一分枝親潮第二分枝がどこまで南に伸びているか、その 間の暖かい水がどこまで北に伸びているかということが、親潮の変化を見るポイントになります。例えば、2015年5月22日号で解説したように、今年の5月からの親潮 は親潮第一分枝・第二分枝の間に強い時計回りの暖水渦が存在することで特徴づけられます(図1)。図2は、図1と同じ2015年の6月27日の海面水温が、平年より冷たいか、暖かいか、を見たものです。時計回り の暖水渦が存在している所が、5月に引き続いて平年よりかなり暖かい(赤っぽい色)ことがわかりま す。

参考資料
気象庁による解説「親潮とは」
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/data/db/hakodate/knowledge/oyashio.html

Fig. 1

図1: JCOPE2による6月27日の推測値。矢印は流れ(メートル毎秒)、色は海面温度(ºC)。

Fig. 2

図2: JCOPE2による6月27日の推測値。矢印は流れ(メートル毎秒)、色は海面温度の平年(1993年から2012年の平均)との差(ºC)。