2019年11月14日までの黒潮「長期」予測(9月18日発表)

黒潮大蛇行は継続すると予測しています。弱まっていた黒潮大蛇行の渦は、小蛇行を吸収し、強さを回復しそうです。

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは11月14日までのJCOPE2Mによる長期予測を解説します。長期予測では、黒潮大蛇行の予測がテーマです。

予測

図1は9月12日の状態の推測値、図2・3は10月12日・11月14日の予測です。

東海沖の典型的な黒潮大蛇行が続いています。典型的な黒潮大蛇行には(1)蛇行が大きい(2)紀伊半島・潮岬での離岸(3)八丈島の北を流れるといった特徴があります。

蛇行が大きいというのは北緯32度以南まで蛇行するというのが目安です[1]。流れを見ると、北緯32度を越えて黒潮が大きく蛇行しています(A)。予測でも大きな蛇行がまだ続きます。

黒潮は潮岬で離岸しています(B)。串本と浦神の日平均潮位差(気象庁)も小さいままであることから、離岸が継続していることがわかります[2]。予測でも潮岬での離岸は継続すると予測しています。

黒潮は八丈島の北を通過する流路が続くと予測しています[3]。八丈島の南を流れる流路が長期化、つまり大蛇行を作る反時計回りの渦が八丈島を越えて東に移動すれば、黒潮大蛇行が終わりに向かうことも考えられますが、いまのところ予測されていません。

現在九州から四国沖にある離岸(小蛇行、図1D)は東に進むことで大蛇行に吸収されると予測しています(図2参照。図2の段階では既に吸収されており、()付きので表記しています)。それにより黒潮大蛇行は強化されます(図5も参照)。小蛇行の通過後は、九州東岸から四国・足摺岬では黒潮が岸に近づきます。

図4は、9月12日から11月14日までの予測をアニメーションにしたものです。

図1: 2019年9月12日の推測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面高度(メートル, 相対値)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2019年10月12日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2019年11月14日の予測値。

 


図4: 2019年9月12日から11月14日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮大蛇行を作る渦の強さ

図5は、黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標です[4]。黒太線が現在の推定値で、1月からほぼ横ばいが続いていましたが、6月からやや下降し、8月に入ってから急激に下がりました。9月に入ってからは強さが急激に回復しています。最新の予測(赤線)ではさらに回復すると予測しています。図2のように小蛇行を吸収するためです。小蛇行が吸収される時に予測通り黒潮大蛇行の形が崩れることがなれれば、黒潮大蛇行はまだ長期に続きそうです。

Fig5

図5: JCOPE2Mで推定と予測した冷水面積(東海沖水深1000mで水温3℃以下の海域の面積)の1日毎の時系列。黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標。単位は104平方キロメートル。黒線は観測を取り入れつつ推定した値。赤線が最新の予測で、青線が一つ前、黒点線が2つ前の予測(先週の予測)。


  1. [1]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html
  2. [2]串本・浦神潮位差については、2016/4/1号「潮岬への黒潮接岸判定法は?: 串本・浦神の潮位差」で解説したように、紀伊半島・潮岬で黒潮が接岸→潮位差大黒潮が離岸→潮位差小という関係があります。過去の串本・浦神潮位差の解説一覧はこちら
  3. [3]東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」のグラフで見ると、潮位が高い値を保っており、黒潮が八丈島の北を流れていることを示唆しています。八丈島の潮位については、「黒潮が八丈島の南を流れているのをどうやって観測で確認するの?」で解説しています。八丈島の潮位の持つ意味は、解説「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」でもとりあげています。
  4. [4]図の見方は「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」を参照


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。