更新日:2022/11/30

YHSサマースクール2022 in三重大学

概要

 Hotspot2に携わる学生・若手研究者による専門知識の学習および研究相談・交流を目的として、 「第1回 Hotspot2 夏季若手研究者セミナー」が2022年9月20~22日にかけて三重大学にて開催され、 主に学生・若手研究者を中心とした48名の方が参加しました(内訳: 学部生14名・修士課程18名・博士課程2名・ポスドク/助教等10名・招待講演講師4名)。  4名の講師による招待講演では、 (1) 中緯度域の海洋変動に関するレビュー、(2) 中緯度域の大気変動に関するレビュー、 (3) 海外経験、(4)台風研究に関するレビュー の4つのトピックについて、基礎的な知識から最新の研究に至るまでの解説や、各講師の経験談を交えた講義が行われました。また、研究内容ごとにセッションを設けた口頭発表では、学部生や修士課程の学生からも積極的に発言があり、充実した質疑応答が繰り広げられました。さらに、ポスターセッションは「研究相談会」と題し、現時点で興味があることや研究の構想(背景、手法の予定など)を発表してもらい、参加者から広くフィードバックをもらえるような形式を採用しました。また、セッション間の休憩時間などには参加者間での個別議論が随所で行われており、将来の共同研究に繋がる可能性も感じさせる一幕も多く見られました。会場準備や設営にご尽力いただいた、三重大学の皆様には改めて感謝申し上げます。

発表プログラム

9/20 (火)

趣旨説明 (5分), 参加者自己紹介 (35分)

 
時間 講演者 タイトル
13:00 - 13:05 小川史明 (北海道大学) 趣旨説明
13:05 - 13:40 全参加者 参加者自己紹介

招待講演 (50分 x 2件),大気海洋研究の若手向けレビュー

座長: 岡島 悟 (東京大), サポート: 宮田 愛美 (北海道大), 舩橋 健朗 (三重大)

13:40 - 14:30 杉本 周作 (東北大) 亜熱帯モード水の先へ 〜空と海の狭間を追い求めて〜
14:40-15:30 田口 文明 (富山大) 黒潮・親潮続流域の海洋変動に対する大気循環応答と
その海盆規模大気海洋変動への影響

研究相談会1/2 (ポスター形式)

16:00-16:10 参加者全員 会場準備
16:10-18:00 参加者全員 研究相談会 (興味や研究構想について)
話題提供者: 茂木 大歩 (筑波大),山田 侑奨 (筑波大),三田 優里 (お茶の水女子大),
上好 慧 (富山大),大橋 勇介 (三重大),山田 裕貴 (三重大),平賀 詩之助 (三重大),
恒川 知也 (三重大),山本 諒 (三重大),天野 未空 (三重大),西岡 優 (北海道大)

9/21 (水)

招待講演 (質疑応答込み50分 x 1件),海外経験

座長: 小川 史明 (北海道大), サポート: 桂 将太 (カリフォルニア大),王 睿敏 (筑波大 M2)

時間 講演者 タイトル
9:00 - 9:50 神山 翼 (お茶の水女子大) Dennisを訪ねて1960里

研究発表 (20分 x 6件), 気候力学,大気海洋相互作用

座長: 関澤 偲温 (東京大),サポート: 山中 晴名 (三重大), 河田 恵奈 (三重大 B3)

10:00 - 10:20 宮本 歩 (東京大) 下層雲に関わる大気海洋相互作用
10:20 - 10:40 岡島 悟 (東京大) 移動性高低気圧の活動と中緯度大気海洋相互作用
10:40 - 10:50 休憩
10:50 - 11:10 伊藤 竜之助 (北海道大) 冬季の日本周辺における黒潮大蛇行の温帯低気圧への影響
11:10 - 11:30 中山 盛雄 (東京大) 南半球傾圧環状モード変動に関わる移動性擾乱の力学
11:30 - 11:40 休憩
11:40 - 12:00 坂本 律 (新潟大) 熱帯インド洋における Climatological BSISO
12:00 - 12:20 関澤 偲温 (東京大) 夏季オーストラリアモンスーンの自己維持的な経年変動

研究発表会 (20分 x 3件), 長期気候変化

座長: 釜江 陽一 (筑波大),サポート: 柄池 大輔 (長崎大), 田中 瞳 (お茶の水女子大)

13:30 - 13:50 宮田 愛美 (北海道大) 下層雲に関わる大気海洋相互作用
13:50 - 14:10 王 睿敏 (筑波大) ENSO によって励起される PNA パターンの温暖化による変化
14:10 - 14:30 釜江 陽一 (筑波大) 22世紀以降の太平洋熱帯収束帯の変化予測

研究発表 (20分 x 3件),寒冷渦

座長: 春日 悟 (三重大),サポート: 松田 佳奈 (三重大), 平賀 詩之助 (三重大)

14:50 - 15:10 春日 悟 (三重大) 寒冷渦指標の紹介
15:10 - 15:30 菅原 風子 (筑波大) 北西太平洋域の寒冷渦が台風に与える影響についての統計学的研究
15:30 - 15:50 田村 健太 (北海道大) 再解析データJRA-55とJRA-55Cを用いた冬季日本海上で発生する
小規模低気圧の解析

研究相談会2/2 (ポスター形式)

16:00-16:10 参加者全員 会場準備
16:10-18:00 参加者全員 研究相談会 (興味や研究構想について)
話題提供者: 藤村 貴広 (富山大),塚田 希望 (富山大), 折田 玲奈 (お茶の水女子大),
中田 英太朗 (北海道大),宮田 愛美 (北海道大),山中 晴名 (三重大),
松田 佳奈 (三重大),竹端 光希 (三重大), 安藤 雄太 (新潟大),木戸 晶一郎 (JAMSTEC),小川 史明 (北海道大)

9/22 (木)

招待講演 (質疑応答込み50分 x 1件),比較的小さな時空間規模現象

座長: 宮本 歩 (東京大), サポート: 伊藤 竜之助 (北海道大), 小林 華子 (北海道大)

時間 講演者 タイトル
9:00 - 9:50 山田 広幸 (琉球大) 台風の航空機観測とドロップSSTゾンデの開発計画

研究発表 (20分 x 4件),大気海洋観測

座長: 安藤 雄太 (新潟大), サポート: 坂本 律 (新潟大), 佐野 芳 (三重大)

10:20 - 10:40 小野寺 朝日 (長崎大) 3隻同時格子観測で得られた相当温位と収束発散の空間分布
10:40 - 11:00 柄池 大輔 (長崎大) 3船格子観測海域におけるWRF再現実験
11:00 - 11:20 山中 晴名 (三重大) 初の洋上直接観測で視えた石狩湾小低気圧の発達に関する仮説

研究発表 (20分 x 2件),海洋気候学

座長: 木戸 晶一郎 (JAMSTEC), サポート: 中山 盛雄 (東京大), 小木 夏海 (北海道大)

11:40 - 12:00 桂 将太(カリフォルニア大) アメリカでの研究生活と海洋塩分に関するレビュー
12:00 - 12:20 田村 優樹人 (東京大) ロスビー波モデルを用いた、黒潮続流の十年規模変動に対する各経度での風応力の相対的寄与に関する研究

YHSの今後にむけて

 
12:20 - 12:30 小川史明 (北海道大学) サマースクール総括,および個別議論の斡旋
14:00 - 16:00 各自 個別議論

参加者の声

ポスター発表はinteractiveな議論を行える点で、非常に有意義だったと思います。特に学生には、(発表者としても聴講者としても) ゆっくり研究について話せる素晴らしい機会になった気がします。また、セッション間の休憩時間が比較的多く確保されていたことで、発表者との追加議論等で盛り上がっていたと思います。

研究発表や個人的な交流を通して他大学の方と議論や情報交換ができる貴重な機会であった。個人的には、これまでで最も交友関係が広がり、今後の研究につながる議論ができ、技術面でも新しい情報を得ることができたため、非常に充実した集会であった。参加、発表しやすい雰囲気であるので、次回があるのであれば多くの学生にお勧めしたい。

発表ではなく相談というスタイルは若手にとって非常に親しみやすく、これほど気楽に先輩方に研究相談できる場所は他にない。ぜひ来年も開催してほしいですし、そのときは研究友達をもっと誘いたいと思います。

活動風景

撮影時のみマスクを外しています。