YHSサマースクール2023 in咲花温泉
概要
Hotspot2に携わる学生・若手研究者による専門知識の学習および研究相談・交流を目的として、 「第2回 Hotspot2 夏季若手研究者セミナー」が2023年9月18~20日にかけてホテル丸松にて開催され、 主に学生・若手研究者を中心とした合計45名の方が参加しました(内訳: 学部生9名・修士課程21名・博士課程 4名・ポスドク/助教等8名・招待講演講師3名)。 3名の講師による招待講演では、それぞれの講師の専門分野やこれまでの経験について、分野外の学生でも理解できるような形で講演が行われました。また口頭発表では、Hotspot2で行われた観測に関する最新の解析結果を中心に学部生・修士課程の学生による発表が行われ、多くの学生を交えて充実した質疑応答が繰り広げられました。さらに、ポスターセッションは昨年度と同様「研究相談会」と題し、現時点で興味があることや研究の構想(背景、手法の予定など)を発表してもらい、参加者から広くフィードバックをもらえるような形式を採用しました。また、「バーチャル観測」では、参加者が6つのグループに分かれ、Hotspot2プロジェクトの一環として行われた冬の日本海観測で得られた実際のデータを解析したり、結果を見て議論を行ったりした上で、最終日にグループごとに結果や考察について発表を行いました。Hotspot2では初となる合宿形式の開催になったことで、朝早くから夜遅くまで活発な議論・意見交換が行われただけでなく、参加者の間で大いに親睦を深めることができました。会場準備や設営にご尽力いただいた、ホテル丸松の従業員の皆様および新潟大学の皆様およびには改めて感謝申し上げます。
発表プログラム
9/18 (月)
趣旨説明 (5分), 参加者自己紹介 (45分)
時間 | 講演者 | タイトル |
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13:00 - 13:15 | 小川史明 (北海道大学) | 趣旨説明 |
13:15 - 14:00 | 全参加者 | 参加者自己紹介 |
研究発表会 (口頭形式,発表15分+質疑応答5分)
座長: 木村 祐輔 (新潟大 D1),サポート: 滝川真央 (三重大 B4), 横田 百音 (筑波大 B4)
14:10 - 14:30 | 畑 大地 (新潟大 M2) | 寒冷渦指標を用いた北陸冬季雷発生時の大気環境場変動 |
14:30 - 14:50 | 佐野 芳 (三重大 M2) | 夏の北極振動と日本の豪雨の関係について |
座長: 西平 楽 (東北大 D1),サポート: 奥野 一樹 (富山大 M1), 原 康正 (三重大 M1)
14:55 - 15:15 | 西川 はつみ (東京大 特任研究員) | Hotspot2で行われた大気海洋観測の紹介 |
15:15 - 15:35 | 恒川 知也 (三重大 M2) | 2022年JPCZ観測データを用いたデータ同化実験の解析 |
招待講演
座長: 坂本 律 (新潟大 D2),サポート: 田中 瞳 (お茶の水女子大 B4), 鹿野 友渚 (筑波大 B4)
15:50-16:50 | 川瀬 宏明 (気象庁気象研究所 主任研究官) | 大雪のイベント・アトリビューション |
研究相談会 (ポスター形式)
17:00-18:20 | 参加者全員 | 研究相談会 (興味や研究構想について) スロット1/3 |
9/19 (火)
研究発表会 (口頭形式, 発表15分+質疑応答5分)
座長: 石田 悠貴 (新潟大 D3)、 サポート: 上好 慧 (富山大 M1), 河田 恵奈 (三重大 B4)
時間 | 講演者 | タイトル |
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09:00-09:20 | 武藤 真璃 (お茶の水女子大 B4) | ジェット気流の南北移動にともなう熱帯中緯度境界線付近の降雨変動 |
09:20-09:40 | 茂木 大歩 (筑波大 M1) | シルクロードテレコネクションと大気の川の関係 |
09:40-10:00 | 山田 侑奨 (筑波大 M1) | 北西太平洋を直進する台風による日本上空への水蒸気輸送と極端降水 |
招待講演 (質疑応答込60分 x 1件)
座長: 西川 はつみ (東京大 特任研究員) サポート: 舩橋 健朗 (三重大 B4), 尾形 太一 (北海道大 M1)
10:15 - 11:15 | 立花 義裕 (三重大 教授) | 研究者のすすめ |
バーチャル観測
サポート: 釜江陽一 (筑波大 助教),木戸晶一郎 (JAMSTEC 研究員)
11:30 - 12:30 | 参加者全員 | バーチャル観測 1/2 (6グループにわかれて実施) |
13:30 - 15:00 | 参加者全員 | バーチャル観測 2/2 (6グループにわかれて実施) |
研究相談会 (ポスター形式)
15:20-16:40 | 参加者全員 | 研究相談会 (興味や研究構想について) スロット2/3 |
17:00-18:20 | 参加者全員 | 研究相談会 (興味や研究構想について) スロット3/3 |
9/20 (水)
招待講演 (質疑応答込60分 x 1件)
座長: 関澤 偲温 (東京大 特任助教), サポート: 髙橋 悠文 (三重大 B4), 山田 裕貴 (三重大 M1)
時間 | 講演者 | タイトル |
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08:00-09:00 | 碓氷 典久 (気象庁気象研究所, 主任研究官) | 黒潮循環系と日本沿岸水位の相互作用 |
バーチャル観測結果発表 (質疑応答込15分 x 6件)
座長: 木戸 晶一郎 (JAMSTEC 研究員)
9:30– 9:45 | グループ1 | 奥野 一樹(富山大学 B4),藤島 遼人(東京海洋大学 M1),山田 裕貴(三重大学 M1), 菅原 風子(筑波大学 M2),山本 健太(新潟大学 M2),春日 悟(三重大学 研究員) |
09:45–10:00 | グループ2 | 鹿野 友渚(筑波大学 B4),滝川 真央(三重大学 B4),原 康正(三重大学 M1), 吉川 千晴(北海道大学 M1),塚田 希望(富山大学 M1), 畑 大地(新潟大学 M2), 西川 はつみ(東京大学 特任研究員) |
10:00–10:15 | グループ3 | 田中 瞳 (お茶の水女子大学 B4), 山田 侑奨(筑波大学 M1), 藤村 貴広(富山大学 M1), 恒川 知也 (三重大学 M2),髙橋 悠文(三重大学 B4), Givo Alsepan (北海道大学,ポスドク),岡島 悟(東京大学 助教) |
10:15–10:30 | グループ4 | 武藤 真璃 (お茶の水女子大学 B4), 日置 真太朗(富山大学 M1), 尾形 太一(北海道大学 M1), 若尾 和哉(北海道大学 M2),天野 未空(三重大学 M2), 石田 悠貴(新潟大学 D3), 関澤 偲温(東京大学 特任助教) |
10:30–10:45 | グループ5 | 河田 恵奈(三重大学 B4), 山本 諒(三重大学 M2), 茂木 大歩(筑波大学 M1), 西平 楽(東北大学 D1), 坂本 律(新潟大学 D2), 田村 健太(北海道大学 研究員), 小川 史明(北海道大学 特任助教) |
10:45–11:00 | グループ6 | 横田 百音(筑波大学 B4), 舩橋 健朗(三重大学 B4), 大橋 勇介(三重大学 M1), 佐野 芳(三重大学 M2), 上好 慧(富山大学 M1), 木村 祐輔 (新潟大学 D1) |
YHSの今後にむけて
11:00 - 11:30 | 小川史明 (北海道大学) | 全体での議論と総括,および個別議論の斡旋 |
13:00 - 17:00 | 各自 | 個別議論 |
参加者の声
2023年9月に開催されたHotspot2夏季若手研究者セミナーに参加しました。他大学・研究機関の大学院生や若手研究者の皆様、招待講演の先生方と、互いの研究や研究生活について濃い意見交換を行うことができ、その後の研究を進める上でのモチベーションや目標づくりに繋がる、かけがえのない経験となりました。
新潟の咲花温泉(写真1)で行われたこのセミナーの大きな特徴は、やはり新学術領域研究Hotspot2に関わる研究室の学生、研究者の皆さまが多く参加しているということです。同じく夏季に開催されるその他の研究セミナー(たとえば気象・海洋夏の学校など)とは性質が異なっており、それは気象の研究をする学生と海洋の研究をする学生が、互いの研究に関してそれぞれの視点から意見交換を行うことができるという点です。私のように、日頃は海洋学の勉強が中心の学生にとって、気象学の勉強をしている皆さんの疑問や視点というのはとても新鮮なものでした。さらに、このセミナーは合宿形式で行われたこともあって、咲花の素晴らしい温泉や食事を参加者の皆様と共に堪能することが出来ました(写真2)。あえてフランクに言うなら、「美味しいご飯を食べて綺麗な温泉に入って、たくさん友達ができました。」このセミナーを通して生まれた同世代での交流の輪を維持し、さらに次の交流の機会へと繋げていくことが今後の私たちの目標になってくるのだろうと感じています。
加えて、世代間の交流というのも非常に活発なセミナーだったと思います。これは運営の若手研究者の皆様や招待講演の先生方が積極的に学生に対してコミュニケーションをとって下さったおかげです。バーチャル観測を行う際には各班にアドバイザーとして若手研究者の方がついてくださり、またその後の発表に対して先生方はとても丁寧にコメントして下さいました。また、懇親会では世代も所属も関係なく、学生でも自身の考えを述べやすい雰囲気で、「刺激的でありながら安心感もある」という素晴らしい時間を過ごすことが出来ました(写真4)。
最後になりますが、運営委員会の皆様をはじめ、このような素晴らしいセミナーを企画・運営していただいたHotspot2関係者の皆様に改めて感謝申し上げます。