2024年2月号:春の天候は?

写真:河津桜と菜の花(河津町)

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか?伊豆では河津桜が満開となり、辺り一面に菜の花が咲いていました。花の蜜を求めてメジロが集まり、観光客とともに賑わっていました。春が近づいてきていますね。これから季節が変わりますが、日本を含め世界の天候が気になります。

 SINTEX-Fの季節予測によると、今年の3月から5月は、アメリカ南東部、アルゼンチン南部、カムチャッカ半島などを除いて、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです。

 また、メキシコ、ハワイ、ブラジル、オーストラリア北部、アフリカ南部、フィリピンなどでは雨が平年より少なく、アメリカの一部、中央アメリカの一部、南米北部、ラプラタ盆地、オーストラリア南部、中央アフリカの一部、東アジア、インドネシアなどでは、雨が平年より多くなる見込みです。

 原因の1つとして、海水温の変動が挙げられます。太平洋の熱帯域では、中央部で海水温が平年より高くなる、エルニーニョもどき現象が発達する見込みです。また、インド洋の熱帯域では、全域で海水温が平年より高くなる正のインド洋海盆モード現象が発達する見込みです。

 

今年の3月から5月までの気温と降水量は?

図1 2024年3月から5月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。予測開始日は2月1日。

 今年の3月から5月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、アメリカ南東部、アルゼンチン南部、カムチャッカ半島などを除いて、世界の多くの地域で、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。

図2:2024年3月から5月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は2月1日。

 次に、今年の3月から5月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、メキシコ、ハワイ、ブラジル、オーストラリア北部、アフリカ南部、フィリピンなどでは雨が平年より少なくなる見込みです(図2)。一方、アメリカの一部、中央アメリカの一部、南米北部、ラプラタ盆地、オーストラリア南部、中央アフリカの一部、東アジア、インドネシアなどでは、雨が平年より多い予測となっています。

 また、日本の春は気温が平年より高く、一部の地域(北海道や九州、沖縄など)で降水量が平年より多くなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。

 

今年の3月から5月までの海面水温は?

図3:2024年3月から5月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は2月1日。

 日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

 SINTEX-Fの季節予測によると、今年の3月から5月まで太平洋の熱帯域では、中央部で海水温が平年より高くなるエルニーニョもどき現象が発達する見込みです(図3)。一方、インド洋の熱帯域では、全域で海水温が平年より高くなる正のインド洋海盆モード現象が発達する見込みです。

図4:2024年2月以降に予測される、エルニーニョもどき指数とインド洋海盆モード指数(ºC)。予測開始日は2月1日。黒線が観測値、複数のカラー線が12個の異なる条件で実験した予測値で、紫線が12個の予測値の平均値。

 それでは、これらの海水温の変動が今後どのように発達、減衰していくのでしょうか?そこで、海水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョもどき指数を見ると(図4上段)、エルニーニョもどき現象は今年の春に発達し、その後減衰して、ラニーニャもどき現象に変わる見込みです。ただし、予測値(12個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

 一方、インド洋の海水温の変動ですが、インド洋海盆モード指数を見ると(図4下段)、正のインド洋海盆モード現象は今年の夏まで発達する見込みです。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

 日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、エルニーニョ・ラニーニャもどき現象、インド洋や他の海域の水温変動もまた、影響を及ぼすことがわかっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように変動し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきたいと思います。