2026年8月号:今年の秋の天候は?

写真:真夏の銀杏並木(東京大学本郷キャンパス、Copyright: JAMSTEC/APL)

皆さま、いかがお過ごしでしょうか?8月22日に東京大学本郷キャンパスで、国連海洋科学の10年に関する一般向け講演会に参加してきました(写真)。暑さは厳しかったのですが、キャンパスには夏休みを楽しむ沢山の親子連れがいらっしゃいました。これから季節が秋に変わりますが、日本を含め世界の天候が気になりますね。

SINTEX-Fの季節予測によると、今年の9月から11月は、世界の多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。一方で、ポリネシアの南西部では、気温が平年より低くなる見込みです。

また、中央アメリカ、カリブ海、ブラジル北部、オーストラリア東部、東アフリカの一部、西部熱帯アフリカの一部、ネパール、インド、マレーシア、フィリピン、インドネシア、南部熱帯太平洋の一部の島嶼国では、雨が平年より少なくなる見込みです。一方で、ブラジル南部、アルゼンチン東部、コンゴ民主共和国、東南アジアの一部、中国の南東部、西部熱帯太平洋と北部熱帯太平洋の一部では、雨が平年より多くなる見込みです。

今年の9月から11月までの気温と降水量は?

図1 2026年9月から11月までに予測される地上気温の平年差(ºC)。予測開始日は8月1日。黒点はシグナル(24個の異なる条件で予測した実験の平均値)がノイズ(24個の異なる条件で予測した実験の平均値からのずれ)より大きい所(ノイズの標準偏差の0.75倍以上)を表す。

今年の9月から11月までに予測される世界の気温を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、世界の多くの地域で(アラスカ、アルゼンチン、チリ南部、モンゴル、中国の一部を除く)、予測されるシグナルがノイズより大きく(図1の黒点)、気温が平年より高くなる見込みです(図1)。一方で、ポリネシアの南西部では、気温が平年より低くなる見込みです。

図2:2026年9月から11月までに予測される降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は8月1日。 黒点はシグナル(24個の異なる条件で予測した実験の平均値)がノイズ(24個の異なる条件で予測した実験の平均値からのずれ)より大きい所(ノイズの標準偏差の0.75倍以上)を表す。

次に、今年の9月から11月までに予測される世界の降水量を見てみましょう。SINTEX-Fの予測によると、中央アメリカ、カリブ海、ブラジル北部、オーストラリア東部、東アフリカの一部、西部熱帯アフリカの一部、ネパール、インド、マレーシア、フィリピン、インドネシア、南部熱帯太平洋の一部の島嶼国では、予測されるシグナルがノイズより大きく(図2の黒点)、雨が平年より少なくなる見込みです(図2)。一方、ブラジル南部、アルゼンチン東部、コンゴ民主共和国、東南アジアの一部、中国の南東部、西部熱帯太平洋と北部熱帯太平洋の一部では、雨が平年より多い予測となっています。

また、日本は多くの地域で気温が平年より高くなる見込みです。ただし、中高緯度の予測精度には限界がありますので、今後の情報に十分に注意されてください。

今年の9月から11月までの海面水温は?

図3:2026年9月から11月までに予測される海面水温の平年差(ºC)。予測開始日は8月1日。

日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海水温が大きく関わっています(参照:季節予測とは?)。特に、熱帯は他の海域に比べて海面水温が高く、わずかな水温の変動が世界の気候に影響をもたらします。

SINTEX-Fの予測によると、今年の9月から11月まで太平洋の熱帯域は、海水温が平年より高くなり、非常に強いエルニーニョ現象が発達する見込みです(図3)。また、インド洋の熱帯域は、海水温が東部で平年より低く、西部で高くなり、正のインド洋ダイポール現象が発生する見込みです。

図4:2026年8月以降に予測される、エルニーニョ指数、インド洋ダイポール指数(ºC)。予測開始日は8月1日。黒線が観測値、複数のカラー線が24個の異なる条件で実験した予測値で、紫線が24個の予測値の平均値。

それでは、これら熱帯域の海水温の変動が今後どのように発達、減衰していくのでしょうか?そこで、海水温の変動が最もよく現れる海域で平均した海水温の平年差を見てみましょう。熱帯太平洋のエルニーニョ指数を見ると(図4上段)、エルニーニョ現象はさらに発達して、秋には非常に強いエルニーニョ現象となる見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

一方、インド洋の海水温の変動ですが、インド洋ダイポール指数を見ると(図4下段)、夏の後半には0.5度を超えて、正のインド洋ダイポール現象が発生し、秋にピークに達する見込みです。ただし、予測値(24個のカラー線)の振幅にばらつきが見られるため、今後の情報に注意されてください。こうした傾向は、他の一部の研究機関の予測結果でも見られています。

日本を含む世界の気候には、太平洋に発生するエルニーニョ・ラニーニャ現象だけでなく、インド洋など他の海域の水温の変動も影響を及ぼすことがわかっています。海洋起源の気候変動現象がこれからどのように推移し、世界の気候にどのような影響を与えるか、今後注意してみていきたいと思います。