2016年4月号:今年の夏は?

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写真:JAMSTEC横浜研究所の中庭

 

あっという間に桜が散り、新緑の美しい季節となりました。私たちのいる横浜研究所は緑が多く、ちょっと外に出ると汗ばむ陽気です。あと数ヶ月もすると、日本は梅雨がやってきて、夏になります。早いものですね。春は暖かいという予測でしたが、これから夏はどうなるのでしょうか?SINTEX-Fチームの皆さんに聞いてみましょう。

今年の6-8月の気温と降水量は?

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図1 2016年6月から8月までの地上気温の平年差(ºC)。 予測開始日は4月1日。

それでは、まず、世界の気温から見てみましょう。今年の6-8月の気温は、世界の多くの地域で平年より暖かくなりそうです(図1)。一方で、中国の北東部、南米の南部では、平年より寒くなりそうです。また、日本ではわずかに寒くなる模様です。

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図2 2016年6月から8月までの降水量の平年差(mm/日)。予測開始日は4月1日。

次に、世界の降水量を見てみましょう。今年の6-8月の降水量は、東アフリカ、インドでは平年より雨が少なくなりそうです。一方で、インドネシアでは、平年より雨が多くなりそうです。これらは、熱帯太平洋で弱まりつつある「エルニーニョ現象」と熱帯インド洋で見られる「負のインド洋ダイポール現象」のような状態が関係している模様です。また、日本の6-8月は、平年よりわずかに雨が多い見込みです。

 

今年の6-8月の海の状況は?

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図3 2016年6月から8月までの海面水温の平年差(ºC)。 予測開始日は4月1日。

最後に、世界の海の水温について見てみましょう。というのは、日々の天気と異なり、季節を決める気候の変動には海の状況、特に、海面水温が大きく関わっているからです(参照:季節予測とは?)。熱帯太平洋では昨年より、中央部と東部で水温が平年より高くなる「エルニーニョ現象」が発生していましたが、現在弱まりつつあります。このエルニーニョ現象は、今年の6-8月には平年並の状態に戻りそうです(図3)。その後、年末に向かって、熱帯太平洋の西部で水温が平年より高くなる「ラニーニャ現象」に移る可能性があります。

一 方、インド洋ですが、今年の6-8月は全域で水温が平年よりも高い状況が続きそうです(図3)。これは、熱帯太平洋で発生していたエルニーニョ現象が、大 気の循環を変えてインド洋を温める効果が続いていることを表しています。しかし、インド洋の東部(スマトラ島沖)のほうが西部(東アフリカ沖)に比べて水 温は温かく、「負のインド洋ダイポール現象」のような状態が9-11月まで続きそうです。

 

以上、SINTEX-Fチームによる、今年の6-8月に予測される世界の天候レポートでした。