最近の水温の状況
先月から今月にかけての日本周辺の海面の水温の状況を見てみます。
図1は、今年7月15日と8月12日の海面の水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく7月15日と8月12日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。7月15日の状況については、「最近の水温の状況(2020/7) 大雨の後」をご覧ください。
8月に入って暑い日が続き、沖縄周辺から東日本沿岸まで太平洋側(G,A,B,E)で海面では平年よりかなり温度が高くなっています(図1)。このまま高い水温が続けば、今後の台風に影響を与える可能性があり、気になるところです。一方、日本海側では天候がそれほど良くなかったので、海面で平年より冷たくなっています(F, 図1)。冷たくなっている理由の一部は台風4号5号の通過が考えられます。
海面では暖水におおわれてはっきりしませんが(図1)、黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦があり冷たくなっています(図2 A)。小蛇行の影響で四国の南岸でも水温が下がっています(黒潮予測参照)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(B)。
親潮周辺では(C)、「暖水渦が分裂? (親潮ウォッチ2020/8)」で解説したように、平年より冷たいところと高いところが入り混じる複雑な構造になっています(図1,2)。黒潮続流が平年より北に位置しているために、海面でも海面下でも水温が高くなっています。(図1,2 E)。
日本海(F)では、日照減で海面では日本海南部では平年より水温が低くなっていますが(図1)、海面下では平年より高いところも見られます(図2)。
今後の日本周辺の水温については、「季節ウォッチ」も参考にしてください。
- [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。↩