まとめ
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- 北海道南に暖水渦が存在しています。
- 予測では暖水渦の一部がちぎれて南に後退します。予測通りであれば、今より親潮は南下しやすくなります。
- 海面下では暖水渦が弱まりつつあると予測しているものの、暑い日が続いたこともあり、海面ではまだ水温が高くなっています。
見通し(長期予測)
海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図2はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]での8月8日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに太い黒線を引いています
北海道南に暖水渦が存在しています。そのため親潮が南下しやすい状況ではなく、沿岸付近では水温5°C線(黒太線)は平年の位置(青線)より北にあります。
図3は図2に対応する2020年9月9日から11月18日までの予測をアニメーションにしたものです。予測では暖水渦の一部がちぎれて南に後退します。もしこのような状態になるとその間を通って親潮が平年以上に南下することになります。
図3: 図2に対応する2020年9月9日から11月18日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
詳細(短期予測)
より高い水平分解能のモデルJCOPE-T DAで短期予測(約10日先)も行っています。毎日更新されるJCOPE-T DAの予測は、JAXAが提供を開始した可視化サイトで見ることができます。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。
図5は2020年9月14日午前9時から9月24日午前9時までの予測のアニメーションです。左が海面、右が水深100mです。右の水深100mの図には、親潮の勢力の範囲の指標として、水温5℃線を黒太線線にしています。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間ごとの図でアニメーションにしています。
水深100mでの親潮が南下と比べると、暑い日が続いたこともあり[2]、海面ではそれほど温度が下がっていません。それでも、次第に親潮の南下が見えてくるという予測になっています。
最新の予測は上記JAXAの可視化サイトでご確認ください。
図4: 2020年9月14日午前9時から9月24日午前9時までの1時間ごとの予測のアニメーション。左が海面、右が水深100m。矢印(ベクトル)が海面の流れの向きと強さ(メートル毎秒)。色が海面水温(℃)。温度の等温線も2℃ごとに白色で加えてある。水深100mの右の図には親潮の勢力の指標として水温5℃の等温線も黒太線で加えている。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。