10月16日までの黒潮「短期」予測 (2020年10月7日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは10月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した10月7日・10月11日・10月15日の黒潮の状態です(1日平均)。

黒潮は東海沖で大きく離岸しており、黒潮大蛇行[1]と呼ばれる状態になっています(A)。大蛇行が続くと予測しています(図1~3)。黒潮大蛇行の長期的な見通しについては黒潮長期予測をご覧ください。大蛇行にともない紀伊半島・潮岬(B)で離岸が続いていましたが、近づくという予測になっています(図2,3)。

四国の室戸岬(C)と足摺岬(D)に、黒潮から伸びた暖水が近づいています(図1)。この後は、大きな離岸が続くと予測しています(図2,3)。

黒潮は三宅島付近を流れています(E)。伊豆半島(E)から黒潮が離れています(図1)。その後近づき(図2)、また離れるという予測になっています(図3)。大蛇行の渦が不安定になっているので、黒潮の動きが大きくなっているようです。

黒潮大蛇行の北上位置(G)が西に移動し、黒潮大蛇行のくびれが大きくなりそうです。長期予測で予測されているように、渦がちぎれるかが注目点です。

図4は10月6日午前9時から10月16日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

JCOPE-T DAの予測は毎日更新されており、最新の予測はJAXAのサイトをご覧ください。図の見方は「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」で解説しています。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAを比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト
Fig1

図1: 2020年10月7日の予測値(日平均)。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし10月11日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし10月15日の予測値。

 


図4: 10月6日午前9時から10月16日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


  1. [1]黒潮大蛇行の記事のまとめはちら


JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。