「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年1月27日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」は黒潮の水が相模湾に流れこむ様子を予測できていました。

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」は黒潮大蛇行から切り離された渦が西に移動し九州南東沖で再び黒潮にくっつくと予測していましたが、海洋速報ではそうなっていませんでした。

短期予測

今回は

2021年1月29日までの黒潮「短期」予測 (2021年1月20日発表) で示した予測結果に対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年1月20日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果は(緑線)は黒潮大蛇行について海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。九州南東沖では海洋速報に比べやや南寄りになっていました。伊豆諸島の東では南に蛇行する様子が海洋速報より規模が小さくもっと東で起こるとしていました。その後の短期予測(図2)では

Fig2

図2. 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年1月24日。左上の数字は予測開始日を示す。

黒潮流軸が伊豆諸島付近を北上する様子が予測されていました。この日の海洋速報では黒潮流軸から分かれて相模湾に向かう流れが表現されていますが、この点は2021年1月29日までの黒潮「短期」予測 (2021年1月20日発表)の図2(1月27日)と図3(1月28日)でよくわかるように予測できていました。相模湾にある城ヶ島沖観測ブイのデータを見ると(図3)、

Fig3

図3. 相模湾 城ヶ島沖ブイの観測データ。上: 水温。下: 流れ。

1月24日から水温が上昇し、1ノット近くの北向き流れが見られているので、相模湾に黒潮の水が流れ込んでいるのは確かであるようです。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年2月26日までの黒潮「長期」予測(2020年12月23日発表)

2021年3月2日までの黒潮「長期」予測(2020年12月30日発表)

2021年3月10日までの黒潮「長期予測」(2020年1月6日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図4)。

図4. 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年1月20日。右:2021年1月24日。左上の数字は予測開始日を示す。

図4から、九州南東沖で黒潮が蛇行する様子が予測されていましたが海洋速報ではそうなっていないことがわかります。昨年に黒潮大蛇行の先から切り離された渦が西に移動し、再び黒潮にくっつく様子が予測されていたということなのですが、まだそうなっていないようです。引き続き注目していきたいと思います。