2022年10月16日までの黒潮「短期」予測 (2022年9月28日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは10月16日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年9月26日・10月6日・10月16日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

黒潮が八丈島()をはさんで東西に分岐した形になっています(図1, 白矢印)。西に分岐した黒潮は紀伊半島の東で時計回りの渦になっています。このため、黒潮大蛇行はゆがんだ形になっていますが(図1)、ゆがんだ形は解消されて(図2,3)、黒潮大蛇行は継続する予測です。

四国・足摺岬(図2)と室戸岬(図3)の順で黒潮が近づくと予測しています(C)。

図4は9月26日午前9時から10月16日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年9月26日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし10月6日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし10月16日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年9月26日午前9時から10月26日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 室戸岬東の時計回り渦

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

海中天気予報のサイトでは、人工衛星の画像とモデルで推定した流れを重ねることで両者の関係を見ることができます。図5は、四国から紀伊半島付近で、9月26日の人工衛星「ひまわり」観測クロロフィルa分布(植物プランクトン分布の指標)と、モデル推定による海面の流れを重ねた図です。

四国室戸岬の東のクロロフィルa分布は時計回りの渦状になっています(図のA付近)。モデルで推定される流れは室戸岬と紀伊半島の間で時計回りの流れになっており、クロロフィルaの分布はこの流れに影響を受けていることが示唆されます。

Fig5

図5: 海洋モデルの海面(水深0m)での人工衛星「ひまわり」による1日平均クロロフィルa分布(色)とモデルによる流れ推定値(矢印)の図(①と②で指定)。クロロフィルaの色の幅は0.01~10mg/m3にした(③で指定)。

 



JCOPE-T DAは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、土曜日を除く毎日更新を行っています(解説参照)。