2022年12月6日までの黒潮「長期」予測(2022年10月5日発表)

黒潮大蛇行が始まって5年目3か月目になり、過去最長期間になっています。黒潮大蛇行は継続すると予測しています。

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは12月6日までのJCOPE2Mによる長期予測を解説します。長期予測では、黒潮大蛇行の予測がテーマです。

予測

図1は2022年9月27日の状態の推測値、図2・3は11月6日・12月6日の予測です。

黒潮は大蛇行状態が続いています(図1)。2017年8月に始まった黒潮大蛇行は今月で期間が5年3か月目になっており、観測史上最長になっています(「黒潮大蛇行が観測史上最長期間に」)。

黒潮大蛇行は東西に広がったり狭まったりするにしろ、まだ継続すると予測しています(図1~3)。

房総半島(B)では離岸したり接岸したりと変化する予測です。黒潮の一部が八丈島()の南に分岐していましたが(図1, D)、一時的なもので(下の付記参照)、今後は八丈島の北を通過すると予測しています(図2,3  B)。

九州南東(A)では小蛇行が発達すると予測しています(図3)。

図4は、2022年9月27日から12月6日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig1

図1: 2022年9月27日の推測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面水位(メートル, 相対値)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし11月6日の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし12月6日の予測値。

 


図4: 2022年9月27日から12月6日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。


  付記: 八丈島付近の黒潮について

潮位計の観測を利用して黒潮の流路を確認してみましょう。黒潮親潮ウォッチでしばしば使っている東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」のデータを今回も使います。図5のグラフは「各潮位データの図示」から八丈島の潮位の「期間: 2022年までの1年間」のグラフです。

過去の解説で[1]、伊豆諸島付近の黒潮流路を判断するには、八丈島での潮位を見れば良いことを説明しました。それは、流れの強い黒潮をはさんで、本州に近い方は海面高度が低い、逆の沖側では海面高度が高いという関係があるからです(図1参照)。このため、黒潮が本州に近づいて島の北を流れれば、島周辺の海面高度は高くなります。逆に、黒潮が島の南を流れる離岸流路が発達すれば、島周辺の海面高度は低くなります。

図5を見ると、9月末頃に一時的に八丈島の水位が下がっており、黒潮が八丈島の南を通過したと考えられます。しかし、八丈島の水位は再び高くなっており、このような黒潮の南下は一時的だと考えられます。

図5: 東京大学大気海洋研究所して黒潮の流路を確認してみましょう。黒潮親潮ウォッチでしばしば使っている東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」から「各潮位データの図示」で八丈島の「期間: 2022年までの 1年間」を指定しグラフ作成

 


  1. [1]八丈島水位に関しての解説一覧はこちら


JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。