2022年11月7日までの黒潮「短期」予測 (2022年10月20日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは11月7日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年10月18日・10月28日・11月7日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています。小規模な渦がちぎれそうになる可能性を予測しています(図2,3, A’)。仮にちぎれたとしても黒潮大蛇行は続きそうです(長期予測も参照)。

東海・関東沿岸では今(図1)より、黒潮が岸に近づく予測です(図2,3 B)。

四国・足摺岬、室戸岬に黒潮が近づく時期があると予測しています(図2, C)。

冬にむけて全体的に水温が低下していきます(図1~3)。

図4は10月18日午前9時から11月7日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年10月18日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし10月28日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし11月6日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年10月18日午前9時から11月7日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 駿河湾の塩分と流れ

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、10月20日のモデル推定による海面の流れ(アニメーション)と塩分の図を重ねた図です。

駿河湾は主要な川が西側に多いので、西部で塩分が低いのが特徴です。私たちのグループでは河川による塩分の変化ができるだけ正確に表現できるような開発を進めています。

流れについては「流速(アニメーション)」を選択した上で、ズームインすると、かなり細かいところまで見ることができます[1]。ただし、この海洋モデルには約3kmという分解能の限界があり(塩分分布の図が岸でガタガタしているのはその反映です)、詳細な部分でどれだけ正確かはまた別問題です。私たちのグループではより分解能の高い海洋モデル(水平分解能約1kmのモデルや約200mのモデル)の開発も進めています。

Fig5

図5: モデルによる駿河湾周辺の「流れ(アニメーション)」と塩分の図(①で指定)。図は静止画になっているが、海中天気予報のサイトではアニメーション表現になっている。塩分の範囲は32から36とした(②で指定)。

 

  1. [1]図5は静止画になっていますが、実際の海中天気予報のサイトでは流れがアニメーション表現になっています。