2022年12月5日までの黒潮「短期」予測 (2022年11月17日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは12月5日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2022年11月5日・11月25日・12月5日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

蛇行の後、黒潮が北上し、岸に近づく位置(B)は、西に移動すると予測しています(図2,3)。熊野灘付近ではいったん離岸したあと接岸し、伊豆半島付近では離岸すると予測しています。

四国・足摺岬、室戸岬からは黒潮が離れています(C)。室戸岬の南に時計回りの暖水渦ができるという予測です(図2 D)。足摺岬には次第に黒潮が近づきそうです(図3 E)。

冬にむけて全体的に水温が低下していきます(図1~3)。

図4は11月15日午前9時から12月5日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2022年11月15日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし11月25日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし12月5日午前9時の予測値。

 


図4: 2022年11月15日午前9時から12月5日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 九州東の黒潮

リニューアル公開されたJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、九州東の11月13日の人工衛星「ひまわり」海面水温分布と予測モデルによる流れの図です。

海面水温と流れから、黒潮は九州東で、四国から離れた緯度で流れているようです。黒潮と四国の間には複雑な温度構造がありそうですが、人工衛星では雲のためにはっきりしません。実際のサイトでモデルの温度を見るなど、確認してみてください。

図5:11月13日午後5時の人工衛星「ひまわり」による水温分布(色)と流速のベクトル(①で指定)。水温の色の幅は23~26℃とした(②で指定)。