海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]で11月10日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。
暖水渦(A)が北海道の南東にあり、親潮が南下しにくい状況になっています。そのために例年より暖水が広がっています。近年は夏にこのような状況になることが多いです(「北海道・東北沖で海洋熱波が頻発していることが明らかに」参照)。気象庁の診断でも現時点で親潮の影響面積は例年に比べてかなり小さく、2020年・2021年に比べても親潮の影響が弱くなっています。
図2、3は12月19日、来年1月19日の予測です。北海道の南東の暖水渦は夏が終わっても継続すると予測しています。黒潮続流も北寄りで、暖水渦を活発に作ると予測されています[2]。
日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くと予測しています。
図4は2022年11月10日から2023年1月19日予測をアニメーションにしたものです。
図4: 図1に対応する2022年11月10日から2023年1月19日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
今月のハイライト: 黒潮続流
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト がリニューアル公開されました(「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。
図5は、11月12日の人工衛星「ひまわり」観測の海面水温(1日平均)とモデル推定による海面の流れを重ねた図です。岸から離れてた黒潮が黒潮続流として福島沖まで北上し、続けて南下、北上と大きく蛇行している様子がうかがえます。
- [1]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。↩
- [2]AVISO+のデータでは黒潮続流が現在は不安定であると診断されています。↩
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。