2023年3月4日までの黒潮「短期」予測 (2023年2月15日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 3月4日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年2月12日・2月20日・3月4日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図2~3)。

四国・足摺岬(D)で黒潮が離れていますが、やや近づく予測です(図3)。

四国・室戸岬沖(E)では離岸していますが、まずは南から(図2)、次に東側から(図3)暖水が近づく予測になっています。

図4は2月12日午前9時から3月4日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年2月12日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年2月20日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年3月4日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年2月12日午前9時から3月4日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 塩分

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、東海南方の2月14日のモデルによる海面塩分と流速の推定値です。

塩分の観測は船舶やブイによって行われていますが、断片的な物です。モデルでは力学的な関係や統計的な関係を駆使して現実に近いと思われる塩分の分布を推定しています。

海洋における塩分の重要さについては、アプリケーションラボの木戸ポストドクトラル研究員の動画(図6,7)をご覧ください。

Fig5

図5:2月14日午後2時のモデルによる塩分(色)と流れ(矢印) (①で指定)。塩分の色の幅は33~35とした(②で指定)。


図6: 研究紹介動画 木戸晶一郎(海洋研究開発機構)


図7: 研究紹介動画三重テレビ版 木戸晶一郎(海洋研究開発機構)