高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 5月14日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年4月24日・5月4日・5月14日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています(B)。東西幅の狭い黒潮大蛇行になっています(図5,6参照)。大蛇行の南端から渦がちぎれそうで、なかなかちぎれない予測です。房総半島からやや黒潮が離れた状態ですが(図1C)、近づきそうです(図2~3)。
四国・足摺岬(D)と室戸岬(E)で黒潮が続きそうですが、東から暖水が近づくかもしれません(図2~3)。
図4は4月24日午前9時から5月14日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年4月24日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年4月24日午前9時から5月24日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 植物プランクトンと流れ
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は4月23日の人工衛星「ひまわり」観測によるクロロフィルa(植物プランクトンの量の指標)とモデルによる流速です。黒潮の流れているところで比較的クロロフィルが少ないなど(図のAやB)、植物プランクトンの分布が流れに影響を受けていることがわかります。