見通し(長期予測)
海洋予測モデルJCOPE2Mで、約2か月先までの予測を行っています。図1はJCOPE2Mによる水深100メートル[1]で6月14日の水温(色、℃)と流れ(矢印)です。赤色が黒潮の影響を受けた暖かい水温で、青色が親潮の影響を受けた冷たい水温です。親潮の影響を受けている範囲の指標として、水温5°Cに赤線を引いています。
親潮域に暖水渦(B)があり、親潮が南下しにくい状況です(図1) 。そのために例年より暖水が広がっています。黒潮続流(A)も例年に比べて北に偏っています(図5も参照)。暖水渦の影響はやや西に移動しながら残り(図2~3) 、東北沖で水温が高い状況が続きそうです。
黒潮続流の位置はやや南に下がると予測しています。黒潮続流の北偏が続くという予測もあり[2] 、今後が注目されます。
日本海では北海道西部で暖水が平年以上に広がっており、それが続くという予測です(C)。
図4は2023年6月14日から8月23日までの予測をアニメーションにしたものです。
図4: 図1に対応する2023年6月14日から8月23日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
今月のハイライト: 黒潮の異常な北上
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト がリニューアル公開されました(「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)。このサイトでは上の予測(JCOPE2M, 約9kmメッシュ)よりも高分解能のモデル(JCOPE-T DA, 約3km)の様々な図を見ることができます。モデルの結果と人工衛星「ひまわり」の図を重ねることもできます。
図5は、6月20日の「ひまわり」観測の海面水温と、モデルによる流れの推定です。黒潮(黒潮続流)は岩手県沖ぐらいまで北上しています(A)。
去年の図を見るとそこまで北上しておらず(図6) 、今年の状況が特異なものであることがわかります。
黒潮親潮ウォッチでは、親潮の現状について月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。 JCOPE-T-DAによる短期予測はJAXAのサイトで見ることができます。 4日毎に更新されるJCOPE2Mによる親潮の長期解析・予測図はJCOPE のweb pageで見られます。親潮関係の図の見方は2017年1月18日号と2017年2月1日号で解説しています。
- [1]天気の影響を受けやすい海面よりも海流の状態を反映していると考えられます。↩
- [2]国立研究開発法人水産研究・教育機構 2023年度第2回東北海区海況予報↩