2023年6月19日までの黒潮「短期」予測 (2023年5月31日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 6月19日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年5月30日・6月9日・6月19日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。大蛇行の南端から渦がちぎれそうで、なかなかちぎれない予測です。房総半島からやや黒潮が離れた状態ですが(図1C) 近づきそうです(図2~3) 。東海沿岸(B)では黒潮が離れたり近づいたりと、変化が大きそうです。

四国・足摺岬と室戸岬(D)で黒潮の離岸が続きそうですが、紀伊半島から四国の方に暖水が伸びてきています(図1~3) 。

夏にむけて全体的に水温が上昇していきます。

図4は5月30日午前9時から6月19日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年5月30日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年6月9日午前9時の予測値。

 

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年6月19日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年5月30日午前9時から6月19日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 台風による水温の低下

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は5月31日のモデルによる水温の推定値です。現在、台風2号の直下で水温が低下していると推定しています(A)。台風の位置では雲のために観測は難しく、モデルによる推定となります。これから台風がどこを通り、水温がどう変化するかにより、台風の強さがどれくらい維持されるかが変わってきます。

Fig5

図5:5月31日午後2時のモデルによる水温の推定値(色)(①で指定)。色の幅は15から31℃に設定した(②で指定)。