2023年7月23日までの黒潮「短期」予測 (2023年7月5日発表) (修正有り)

2023/7/6 間違えて以前の動画をアップロードしていたので、修正しました。

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 7月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年7月3日・7月13日・7月23日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。大蛇行は強いS字カーブを描いて北上しています(図1) 。S字カーブは緩和されると予測しています(図2,3) 。関東沿岸から東海沿岸にかけて(B, C) 、黒潮が離れたり近づいたりと、変化が大きそうです。大蛇行から渦が切離するかも知れない予測になっていますが(図3) 、実際に切離するかは現時点では不明です。切離しても大蛇行には大きな影響はなさそうです。

四国には足摺岬と室戸岬の中間ぐらいに近づきそうです(図1~3, D) 。

夏にむけて全体的に水温が上昇していきます。

図4は7月3日午前9時から7月23日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年7月3日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年7月13日午前9時の予測値。

 

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年7月23日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年7月3日午前9時から7月23日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 千葉沖を北上する黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は7月4日の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温とモデルによる流れの推定値です。千葉沖から黒潮(黒潮続流)が大きく北上している様子がうかがえます。このために東北沖では平年よりかなり水温が高くなっています(最近の海洋熱波・寒波(2023/6) 前例の無い高水温参照)。

Fig5

図5:7月4日午後10時の人工衛星「ひまわり」による観測海面水温(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)(①で指定)。色の幅は20から28℃に設定した(②で指定)。