2023年10月30日までの黒潮「短期」予測 (2023年10月11日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 10月30日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年10月10日・10月20日・10月30日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

A、B、Cと流れるS字カーブは弱まっています(図1) 。今後、一時的に強まる予測になっています(図3) 。黒潮大蛇行を大きく変えるほどではないですが、渦がちぎれる可能性があります(図3, A‘) 。

四国付近(D)では、黒潮が足摺岬から離れています(図1、図5も参照) 。黒潮は四国に近づいたり離れたりと変化しそうです(図4) 。

秋に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3, 図4,5,6も参照) 。

図4は10月10日午前9時から10月30日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年10月10日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年10月20日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年10月30日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年10月10日午前9時から10月30日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 沿岸の水温低下

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は10月5日と10日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。

高かった太平洋沿岸の水温が、この5日間でだいぶ下がっています。

Fig5

図5:10月5日午後4時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流れの推測値(矢印)(①で指定)。色の幅は23から28℃に設定した(②で指定)。

 

Fig5

図5:図4に同じ。ただし10月10日午後4時。