高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 11月13日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年10月24日・11月3日・11月13日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
A、B、Cと流れるS字カーブは今後強まり(図2) 、その後に緩和される予測です(図3) 。先週までの予測と異なり、渦がちぎそうではなくなりました。
四国付近(D)では、黒潮が足摺岬に近づいています。室戸岬では時計回りの暖水渦が形成されています(図5も参照) 。黒潮が四国に近づく位置は東に移動しそうです(図1~3) 。
冬に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。
図4は10月24日午前9時から11月13日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2023年10月24日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2023年10月24日午前9時から11月13日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 四国足摺岬から紀伊半島
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は10月23日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。
四国・室戸岬付近には時計回りの暖水渦があります。紀伊半島からは黒潮の分岐流が南西に流れていると推定されています。その二つの流れにはさまれて、紀伊水道から冷たい細い水が南に伸びている様子が観測では見られます。この冷たい水はまっすぐ南に伸びているので、モデルが推定している紀伊半島からの流れは西向き成分が強すぎるかもしれません。