2023年12月4日までの黒潮「短期」予測 (2023年11月15日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 12月4日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年11月14日・11月24日・12月4日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

A、B、Cと流れるS字カーブは今後強まる(図2~図3)予測です 。少し先なので確実性は低いですが、黒潮が八丈島()の南を通過する可能性があります(図3) 。東海から関東にかけては黒潮が岸近くを流れています(図5も参照)。

四国付近(D)では、黒潮が足摺岬からやや離れた後(図1~2) 、再び足摺岬に近づく(図3)予測です。

冬に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。

図4は11月14日午前9時から12月4日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年11月14日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2023年11月24日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年12月4日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年11月14日午前9時から12月4日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 駿河湾付近の黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は11月14日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。

黒潮は東海から関東にかけて沿岸に近いところを流れて、高い水温が近づいています。黒潮の北縁で伊豆大島に流れがぶつかり、反時計回りに駿河湾に黒潮が流れ込んでいる様子が見られます。駿河湾の予測は駿河湾ウォッチでも公開しています。

Fig5

図5:11月14日午後3時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流れ(アニメーション)の推測値(線)(①で指定)。色の幅は18から26℃に設定した(②で指定)。実際のサイトでは流れがアニメーション表現になっている。