2023年12月18日までの黒潮「短期」予測 (2023年11月29日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 12月18日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年11月28日・12月8日・12月18日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

A、B、Cと流れるS字カーブ(図1)は 、B部が渦としてちぎれる予測です(図2) 。

黒潮が八丈島()の近くを通過しています(図1, 図6も参照) 。今後は八丈島を北に流れる流路に戻る予測です(図2~図3) 。

四国付近(D)では、黒潮が四国からやや離れた状態です(図1) 。今後、足摺岬に近づく予測です(図2~3) 。

冬に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。

図4は11月28日午前9時から12月18日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年11月28日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2023年12月8日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年12月18日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年11月28日午前9時から12月18日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 四国付近の黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は11月21日と29日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。

21日に比べて29日は、高い水温と低い水温の境目が八丈島に近づいており、流れの推定値どおり黒潮が八丈島に近づいていることが示唆されます。

Fig5

図5:11月21日午前2時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流れ(矢印)の推測値(線)(①で指定)。色の幅は20から25℃に設定した(②で指定)。

Fig5

図6:図5に同じ。ただし11月29日。