高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは3月19日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2月28日・3月9日・3月19日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
伊豆半島付近と房総半島付近では黒潮が近づいています(図1~2 B, C) 。Bから暖水が西に分岐しています(図1) 。今後 、いったん弱まった後(図2) 、強まりそうです(図3) 。
九州の東に小蛇行があります(図5も参照)。小蛇行の下流への動きとともに、黒潮は四国離れますが、黒潮から切り離された暖水は残るという予測です(D’, 図2~3) 。小蛇行の動きを受けて、黒潮蛇行はいびつな形になると予測されています(図3, A) 。
図4は2月28日午前9時から3月19日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2024年2月28日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2024年2月28日午前9時から3月19日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 九州東の蛇行
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は2月27日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れの推定値です。
九州の東には冷たい時計回りの渦があり、その影響を受けて黒潮が蛇行しています。九州東の蛇行は小蛇行と呼ばれることが多いですが、いまはかなり蛇行が大きくなっています。今後、この小蛇行が動くことで紀伊半島南の大蛇行の流路に影響を与えると予測されています(図1~4) 。