2024年8月19日までの黒潮「短期」予測 (2024年8月1日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは8月12日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した7月30日・8月9日・8月19日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。

A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが強化されるた後(図1~2)、緩むと予測しています(図3) 。黒潮が八丈島()に近づくかもしれません(図3)。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づきそうです(B-C) 。房総半島の黒潮の間に水温の冷たい海域ができています(図1 C)。今後、温度が上昇する可能性があります(図3)。

四国・足摺岬では黒潮が近くを流れていますが(図1~2, D)、次第に離れると予測しています(図3) 。九州の南から東にかけて、黒潮が九州から離れ(E)、それが拡大しそうです。九州の南からDに合流する流れも存在します(F, 図5も参照)。その流れは弱まっていきそうです(図2~3)。

夏のため全体的に水温が上がっています。

図4は7月30日午前9時から8月19日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2024年7月30日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2024年8月9日。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2024年8月19日午前9時の予測値。

 

 


図4: 2024年7月30日午前9時から8月19日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 宮崎県沿岸沿いを北上する流れ

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は人工衛星「ひまわり」で観測された7月29日のクロロフィルa濃度(プランクトン量の指標)とモデルによる流れの推定値です。図1Fにあるように九州の南から宮崎沿岸沿いに北上する流れがあります。この流れは栄養塩豊富な沿岸を通るのでクロロフィルa濃度が高くなっています。クロロフィルa濃度が低い黒潮本体(図1E)とは異なる性質を持っています。

Fig5

図5:7月23日一日平均の人工衛星観測「ひまわり」観測海面水温(色)とモデルによる流れの推定値(矢印)(①で指定)。色の幅は24から31℃に設定した(②で指定)。

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。