高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは9月2日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した8月13日・8月23日・9月2日の黒潮の状態です。
黒潮大蛇行(A)が続いています(図1, 長期予測も参照)。
A→B→Cという大蛇行からの北上流のS字カーブが強化された後(図1~2)、緩むと予測しています(図3) 。黒潮が八丈島(●)に近づくかもしれません(図3)。東海から関東にかけて黒潮が沿岸に近づきそうです(B-C) 。房総半島と黒潮の間に水温の冷たい海域ができています(図1 C, 図5も参照)。
四国・足摺岬では黒潮が近くを流れていますが(図1~2, D)、室戸岬、紀伊半島へと接岸が移って行くと予測しています(図3) 。九州の南から東にかけて、黒潮が九州から離れ(E)、それが拡大しそうです。九州の南からDに合流する流れも存在します(F)。その流れは弱まりそうです(図3)。
夏で全体的に水温が高いですが、台風の影響によって一場所によっては水温が下がるでしょう(図2、図4,5,6も参照)。
図4は8月13日午前9時から9月2日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2024年8月13日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2024年8月13日午前9時から9月2日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 台風の通過する海
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5人工衛星「ひまわり」で観測され8月13日の海面水温で、図6は同じくモデルによる推定値です。モデルでは、「ひまわり」が雲で観測できない海域も推定しています。
先週から今週にかけて台風5号が通過し、通過した周辺の海域は水温が低下しています。
今後、台風7号が通過することが予測されています。台風が通過する海域はまだ水温が高く、台風が強い勢力のまま日本に近づくと予測されています。台風に関しては最新の情報を入手して注意してください。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。