2025年6月3日までの黒潮「短期」予測 (2025年5月15日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは6月3日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月14日・5月24日・6月3日の黒潮の状態です。

気象庁が5月9日に、7年9か月続いた黒潮大蛇行が終息する兆しと発表しました。

黒潮大蛇行から渦がちぎれており(A’)、蛇行が大幅に小さくなり、大蛇行と呼べるほど大きくありません。ただ、まだ黒潮が紀伊半島の潮岬から離れており(A)、まっすぐ流れているとも言えません。D→A→B→Cとジグザクの流路になっています(図5も参照)。

伊豆諸島・房総半島付近では現在黒潮が離れて水温が低くなっていますが(C)、今後近づいて水温が高くなると予測しています。

夏に向かって、全体的にしだいに水温が上昇してきます。

図4は5月14日午前9時から6月3日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1
図1: 2025年5月14日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

図2: 図1に同じ。ただし2025年5月24日午前9時の予測値。

 

Fig3
図3: 図1に同じ。ただし2025年6月3日午前9時の予測値。

 


図4: 2025年5月14日午前9時から6月3日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

今週のハイライト: 黒潮のジグザクとした流れ

図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された5月14日の海面水温です。

大蛇行と呼べるほど蛇行は大きくありませんが、ジグザグと蛇行した流れになっています(図1も参照)。黒潮大蛇行からちぎれた冷水渦の周りには、黒潮の一部の暖水がまきついているように見えます。

このようにジグザクとした流れの場合、今は黒潮が離れていても、急に近づいてくる可能性があり、注意が必要です。

Fig5
図5:2025年5月14日のー日平均の人工衛星「ひまわり」観測の海面水温(色)(①で指定)。水温の色の範囲の色の範囲を16~28度とした(②で指定)。

 



JCOPE3Mは水平1/12度の分解能で2か月先までの予測を行っています。予測は毎日更新されています。