高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは6月3日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した5月14日・5月24日・6月3日の黒潮の状態です。
気象庁が5月9日に、7年9か月続いた黒潮大蛇行が終息する兆しと発表しました。
黒潮大蛇行から渦がちぎれており(A’)、蛇行が大幅に小さくなり、大蛇行と呼べるほど大きくありません。ただ、まだ黒潮が紀伊半島の潮岬から離れており(A)、まっすぐ流れているとも言えません。D→A→B→Cとジグザクの流路になっています(図5も参照)。
伊豆諸島・房総半島付近では現在黒潮が離れて水温が低くなっていますが(C)、今後近づいて水温が高くなると予測しています。
夏に向かって、全体的にしだいに水温が上昇してきます。
図4は5月14日午前9時から6月3日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2025年5月14日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2025年5月14日午前9時から6月3日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮のジグザクとした流れ
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された5月14日の海面水温です。
大蛇行と呼べるほど蛇行は大きくありませんが、ジグザグと蛇行した流れになっています(図1も参照)。黒潮大蛇行からちぎれた冷水渦の周りには、黒潮の一部の暖水がまきついているように見えます。
このようにジグザクとした流れの場合、今は黒潮が離れていても、急に近づいてくる可能性があり、注意が必要です。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。