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- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE3Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは10月7日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した9月17日・9月27日・10月7日の黒潮の状態です。
気象庁と海上保安庁は今回の黒潮大蛇行が2025年4月に終息したとの判断を発表しています(2025/8/29発表)。しかし黒潮大蛇行の余波は続いています(「2025年の黒潮のこれまでをふりかえる」参照)。伊豆諸島付近で蛇行があるのと同時に(図1A)、黒潮からちぎれていた渦が吸収される形で東海沖にも蛇行があります(図1 A”)。房総半島では黒潮が離れています(図5参照)。
伊豆諸島付近の蛇行(A)東に消えていくと予測されています(図2~3)。
蛇行A”が東に進んできたことで、黒潮は紀伊半島・潮岬から離岸しています(図1)。この蛇行の影響を受けて、北に暖水渦が存在しています(E)。
A”の蛇行がやや発達しながら東に移動すると予測されています(図2~3)。暖水渦Eは縮小していく予測です。
黒潮は四国から紀伊半島に近づき(D)、九州東からは離れると予測されています(F)(図2~3)。
秋に向けて水温が下がっていきます(図1~3)。
図4は9月17日午前9時から10月7日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

図1: 2025年9月17日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。青丸(●)が八丈島の位置。クリックすると拡大します。
図4: 2025年9月17日午前9時から10月17日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト:房総半島付近の黒潮
図5はJAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトで見た、人工衛星「ひまわり」で観測された9月16日の水温です。
現在、房総半島から黒潮が離れており(図1)、黒潮の高い水温と房総半島との間に、冷たい水が広がっています(図5)。蛇行Aも水温から見えています。
黒潮と房総半島に反時計回りの渦がり、黒潮から高めの水温が巻きこまれている様子もうかがえます(図5, 点線矢印)。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。