北海道・東北沖の高水温続く(親潮ウォッチ2015/12)

11月の北海道・東北沖の海流は図1のようにまとめられます。11月6日号「続・親潮が記録的なあたたかさ」で解説したとおり、春先から時計回りの渦(暖水渦、暖水塊)が居座っており、そのため例年(図1左)に比べて、沿岸寄り親潮の南下がブロックされており、沿岸に親潮からの冷たい水が入りにくくなっています。また11月には、黒潮の支流が東北沖に流れこむという現象が発生しました。

Fig1

図1: 例年(左)と今年11月(右)の海流の概略図。

 

図1を念頭にJCOPE2のデータを見てみましょう。図2は11月1日の海面水温(図左)と、海面水温が平年より高いか、低いか、を見たもの(図右)です。暖水(A)が居座っており、親潮の影響域はその東にとどまり、親潮第一分枝・第二分枝のパターン(7月3日解説)が明瞭にみられません。これは11月6日号で解説したとおりです。

11月中旬になると(図3)、黒潮の支流が東北沖にに流れこみ(図中B)、東北沿岸でも平年より温度が高くなっています(図3右)。11月下旬(図4)にはこの暖水は渦としてちぎれ(図中B)、黒潮からの暖水の流入は弱まっています。

Fig2

図2: JCOPE2による11月1日の海面での解析値。矢印は流れ(メートル毎秒)。[左図]色は海面水温(ºC)。[右図]色と等値線は 水温の平年(1993年から2012年の平均)との差(ºC)。

Fig3

図3: 11月15日の海面での解析値。

Fig4

図4: 11月30日の海面での解析値。

 

9月4日号で 紹介した、親潮の面積(水深100メートルの水温5度以下の水の広がり, 赤線)で見ると(図5)、平年の季節変化(黒細線)のはるか下、通常の範囲(灰色の範囲)を超えてさらに小さい面積になっています。親潮面積が小さいとい うことは、冷たい水(5度以下)の範囲が狭い、すなわち、親潮域があたたかいことを意味します。8月(9月4日号)、9,10月(11月6日号)に引き続き、JCOPEのデータのある1993年以降で親潮面積の11月平均は今年が過去最少でした(図6)。

図5

図5: JCOPE2再解析データから計算した親潮面積の時系列(単位104 km2)。赤線が2014年から現在までの時系列。黒細線は平年(1993-2012年)の季節変化。灰色の範囲は平均からプラスマイナス標準偏差の範囲。

 

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図6: 親潮の11月平均面積の各年の比較。単位は104 km2


親潮の現状は月に一回程度お知らせします。親潮に関する解説一覧はこちらです。
親潮の他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。図の見方は2015年11月20日号で解説しています。
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