現在、黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路です。房総半島に黒潮が近づいています。九州から紀伊半島にかけては、九州南東と、潮岬・室戸岬付近で離岸傾向です。 今後は、黒潮流路の離岸・接岸の変動が大きくなり、離岸流路が一時的に抑えられる可能性があります。 |
現状
図1と図2はJCOPE2で計算した1月9日と1月15日の黒潮の状態です。黒潮は八丈島の南を流れる離岸流路になっています(離岸傾向b(※1)、図1)。離岸傾向bが東に移動したので、離岸はやや小さくなり、黒潮が八丈島に近づいています(図2)。昨年12月25日号検証で解説したとおり、伊豆諸島沿いのS字型カーブは解消に向かっています(接岸傾向aの下流への移動)。そのため、東海沿岸への東からの暖水流入は弱まる一方(図1)、南から流入しやすくなっています(図2、接岸傾向c)。
黒潮は、房総半島に近づいています(接岸傾向a)(図1,2)。
九州南東では黒潮が大きく離岸しています(離岸傾向f)(図1,2)。四国から紀伊半島にかけては、離岸の中心(離岸傾向d)室戸岬から潮岬付近に移動しています(図1,2)。
※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットa,b,c,d,,,で図示しています。赤字a,c,,,が接岸傾向で、青字b,d,,,が離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通)、同じアルファベット、例えば離岸傾向dが、上流から下流に移動していることをしめしています。
予測
図3と図4は2月2日と3月17日の予測です。
今後、接岸・離岸の変動が大きくなり、その変動が黒潮の下流に移動すると予測しています(図3,4)。接岸傾向の発達により、2月初めごろ(図3、接岸傾向cのため)と2月末頃(接岸傾向eのため)に離岸流路が抑えられる可能性があります。それらは一時的で、離岸流路は続くと予測(図4)していますが、発達の度合いによっては離岸流路は解消に向かう可能性もあります。
図5は1月9日から3月17日までの予測をアニメーションにしたものです。
図5: 1月9日から3月17日までの予測のアニメーション。クリックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。