2016年10月9日から12月15日の予測(10月14日発表)

現在、黒潮が八丈島付近の南に位置し、離岸流路的な状態になっていますが、離岸は弱まりつつあります。黒潮が潮岬で接岸しています。房総半島で黒潮が接岸していますが、一部やや離岸です。黒潮流路は、八丈島付近を南北に移動するでしょう。房総半島では次第に離岸すると予測しています。

今週からJCOPE2の改良版であるJCOPE2Mによる予測です。

図1と図2はJCOPE2Mで計算した10月9日と10月14日の黒潮の状態です。

接岸傾向β(※1)の接近により、黒潮は八丈島の南に位置し離岸流路的な状態になっていますが、接岸傾向βの下流への移動にともない離岸は弱まり、黒潮が八丈島にちかづいています(図2)。

現在、潮岬では接岸(接岸傾向e)、足摺岬と室戸岬ではやや離岸(離岸傾向f)です(図2)。四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも情報を提供しています。九州南東では離岸しています(離岸傾向h)。

房総半島では、接岸傾向αために黒潮が接岸していますが、離岸傾向xの下流への移動のため一部やや離岸しています(図1,2)。

Fig1

図1: 観測値を取り入れて作成した10月9日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面高度(メートル)。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 10月14日の予測値。

 


予測

図3・図4・図5は10月21日・10月28日・12月15日の予測です。

黒潮上の離岸・接岸のゆれが次第に大きくなり、黒潮の流路は南北に移動すると予測しています(図3,4,5)。八丈島の南に位置する黒潮は、いったん北上し、接岸流路的な状態になりそうです(図3,4)。2019/10/3号の検証記事での見通しも参照してください。その後、再び離岸流路が発達する可能性があります(図5)。

房総半島では離岸傾向βの下流への移動にともない、次第に離岸しそうです(図3,4)。

九州南東での離岸(離岸傾向h)は次第に下流に移動しますが(図3,4)、先週までのJCOPE2の予測とは違い、大規模な離岸(小蛇行)に発達はしないと予測しています。

四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも予測しています。

図6は10月9日から12月15日までの予測をアニメーションにしたものです。

Fig3

図3: 10月21日の予測値。

図4: 10月28日の予測値。

Fig5

図5: 12月15日の予測値。図4から個々の離岸・接岸傾向の追跡が難しいためアルファベットは略。

 


図6: 10月9日から12月15日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。


※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字α,c,が接岸傾向で、青字x,βが離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通ですが、状況の変化にともない一部入れ替えてます)、同じアルファベット、例えば離岸傾向βが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。

 



JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。