現在、黒潮が八丈島付近の南に位置し、離岸流路的な状態になっています。黒潮が潮岬で接岸しています。房総半島で黒潮が接岸していますが、一部やや離岸です。黒潮流路は、八丈島付近を南北に移動するでしょう。房総半島では次第に離岸すると予測しています。 |
図1と図2はJCOPE2で計算した10月1日と10月7日の黒潮の状態です。
接岸傾向β(※1)の接近により、黒潮は八丈島付近から(図1)、八丈島の南に位置し(図2)、離岸流路的な状態になっています(※2)。
紀伊半島・潮岬、四国・室戸岬と足摺岬で、小刻みな接岸と離岸が続いています(図1,図2)。現在、潮岬では接岸(接岸傾向c ※1)、室戸岬ではやや離岸(離岸傾向d)です。足摺岬では接岸(接岸傾向e)していますが、離岸に向かっています(離岸傾向f)。四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも情報を提供しています。九州南東では離岸しています(離岸傾向f)。
房総半島では、接岸傾向αために黒潮が接岸していますが、離岸傾向xの下流への移動のため一部やや離岸しています(図1,2)。
予測
図3・図4・図5は10月14日・10月21日・12月8日の予測です。
黒潮上の離岸・接岸のゆれが次第に大きくなり、黒潮の流路は南北に移動すると予測しています(図3,4,5)。現在八丈島の南に位置する黒潮は、接岸傾向aで北上し、いったん接岸流路的な状態になりそうです(図3,4)。2019/10/3号の検証記事も参照してください。
房総半島では離岸傾向βの下流への移動にともない、次第に離岸しそうです(図3,4)。
九州東岸から紀伊半島・潮岬では、しばらく小刻みな接岸と離岸が続きそうですが(図3,4)、しだいに黒潮九州南東部の離岸傾向が大きくなり小蛇行に発達する可能性があります(図5)。ただし、今までのところ小蛇行の発達を過大に予測する傾向があり注意が必要です(※3)。四国の南の黒潮については、「ちきゅうのための海流予測」でも予測しています。
図5は10月1日から12月8日までの予測をアニメーションにしたものです。
図5: 10月1日から12月8日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
※1 接岸と離岸の傾向を上流から一連のアルファベットで図示しています。赤字α,c,が接岸傾向で、青字x,βが離岸傾向です。黒潮上に接岸・離岸傾向は交互にあらわれており、黒潮が波うっている様子をあらわしています。接岸・離岸傾向は黒潮の流れで下流に流されます。アルファベットは図1から図4まで共通で(前号とも共通です)、同じアルファベット、例えば離岸傾向βが、上流から下流に位置が動いていることをしめしています。
※2 海上保安庁は、10月2日頃に八丈島の南側を流れる流路になったとしています(海上保安庁2016/10/3:本州南方の黒潮流路について)。
※3 現在、JCOPE2の改良版JCOPE2Mの開発を進めており、いまのところJCOPE2Mでは小蛇行の発達は予測されていません。予測システムはJCOPE2Mへの移行を予定しています。「ちきゅうのための海流予測」で使っているJCOPE-T-EASとJCOPE-T-JCWは、JCOPE2Mのデータを参照して予測を行っています。
JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。