毎月、過去1カ月の予測を検証しています[1]。予測通り、黒潮大蛇行が続いています。

予測と実際(長期予測)

今回は4月24日号の、4月19日から予測した5月23日までの結果を検証します。4月24日号では黒潮大蛇行が続くと予測しました。その予測は当たっています。

図1左は、4月19日から予測した5月23日の黒潮の状態です。図１右は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる5月23日の状態です。図2は、同じく予測値(左)と実際(右)の比較を、4月19日から5月23日までのアニメーションにしたものです。

5月23日の予測(図1左)は、実際(図1右)の黒潮大蛇行の特徴である、潮岬が継続して離岸していること、黒潮の最南下点が北緯 32 度より南に位置することを予測できていました。伊豆諸島付近では八丈島の北を流れる流路が続くと予測しており、それも当たっていました。

4月24日号の予測では、九州東で離岸(小蛇行)が大きく予測しすぎる可能性があるとしていました(左)。実際(右)には九州南東に小さな蛇行がありますが(短期予測も参照)、予測は大きすぎ、足摺岬の離岸や黒潮蛇行の形が実際とは異なっていました。

 

図2: 4月19日から5月23日までの予測(左)と実際(右)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮大蛇行を作る渦の強さ(長期予測)

大蛇行を作る渦の強さを数値化するために、2018/3/14号「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」で、深層の冷水面積(水深1000mの水温3℃以下の海域の面積)を渦の強さの指標として導入しました。

図3の点線は、4月24日号の4月19日からの予測による冷水面積の変化です。5月になっての減少を予測していました。実際(黒線)には、ほぼ横ばいでした。渦の強さが保たれていることで、黒潮大蛇行が長引きそうな状態です。

黒潮大蛇行が2017年8月末に始まってから約1年９か月たっており、記録が確かな1960年代後半以降では、史上3番目の長さの黒潮大蛇行になっています(「黒潮大蛇行が過去3番目の長さに」)。今回より長い大蛇行は30年以上前の1981-1984年(約2年7か月)までさかのぼります。

予測と実際(短期予測)

今回は先週の5月20日から予測した5月26日の予測を検証します。図4上段は、5月20日から予測した5月26日の黒潮の状態です(1日平均)。図4下段は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる5月26日の状態です。

おおむね、よく予測出来ていたようですが、黒潮の反流は強すぎたようです。

1. ^[1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、１ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため１ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で１ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば１週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。↩