海の底にある岩石は、地球のひみつをたくさん教えてくれます。なぜなら、海底にある岩石は、陸上のものよりもマントルに近く、地球内部の情報をたくさんもっているからです。
そのような、深い海から採取した、地球のひみつを教えてくれる岩石たちを紹介するこのシリーズ。海底の石でわかる「地球のヒミツ」、第1回は「枕状溶岩」です。
マグマが流れながら冷えて固まった溶岩
この岩石は「枕状溶岩」と呼ばれるもの。英語では「Pillow lava」といい、海底で流れ出たマグマが固まって出来た岩石(溶岩)です。ソーセージのような、細長い枕のような形をしていることから、この名で呼ばれています。
なぜ、この岩石は「枕状」をしているのでしょうか?
これは粘り気の少ない玄武岩質のマグマが海の底でドロドロと流れ出ると、水で急に冷やされて、楕円体のような形で固まります。
ただ、このとき固まるのは表面だけで、中身はまだドロドロです。その状態で、うしろから新しいマグマにどんどん押されるので、ソーセージの皮のようになった表面の一部が破れて、再び流れ出します。すると、表面だけが再び固まっては流れ出すということを繰り返し、やがて枕のような形の溶岩がいくつも出来るわけです(冒頭の図1:海底上部に広がっている「枕状溶岩」)。
実は、海洋の底(海洋地殻)の上部は、このような枕状溶岩が積み上がって出来上がっています。
採取したのは、ちくわみたいな“枕”だった!?
この枕状溶岩はインド洋の海嶺のひとつ「中央インド洋海嶺」の深海から持ち帰ったものです。
この写真は、深い海の底から持ち帰ってきた枕状溶岩です。真ん中に穴が空いていますね。これはマグマが流れ出たあとの空洞なんです。
どうして、ちくわのような穴が空くのでしょうか。