津軽海峡東部海洋レーダーデータサイト「MORSETS」が公開 (親潮ウォッチ2015/10)

海洋研究開発機構(JAMSTEC)むつ研究所は、北海道と青森県の間にある津軽海峡東部の海流の変動を観測するために、海洋短波レーダーを2014年から設置しています。海洋短波レーダーは、船による観測と比較して、面的に広いエリアを高頻度で観測できるというメリットがあります。

JAMSTECのむつ研究所および地球情報基盤センターは、津軽海峡東部海洋レーダーデータサイト「MORSETS」(MIO Ocean Radar data Site for Eastern Tsugaru Strait:MIOはむつ研究所の略称)http://www.godac.jamstec.go.jp/morsets/j/ において、レーダーによる観測結果を9月17日から公開しています(図1)。

このサイトでは、津軽海況東部の海流の様子を30分間隔で過去2日間にさかのぼってリアルタイムで見ることができます。地域水産業、海運業、防災減災、海難事故対応、および海洋環境変動研究に貢献することが期待されています(※)。ぜひ、ご活用ください。

※ 2015/9/17海洋研究開発機構プレスリリース 津軽海峡東部海洋レーダーデータサイト「MORSETS」の公開を開始 ―流向・流速の観測データを公開、漁業活動等への活用も―

MORSETSで津軽海峡の流れを見ると、変動が非常に激しいことがわかりますが、概ね津軽海峡を西から東にぬける強い流れが見られます。この海流は津軽暖流と呼ばれています。またの機会にMORSETSのデータを我々のJCOPEと比較してみたいと思いますが、今回は津軽暖流とは何か?について解説します。

 

 


what is Tsugaru warm current図2はJCOPE2で計算した9月26日の日本周辺の海面温度と海流です。北海道と青森県の間にある津軽海峡を、日本海から太平洋にぬける海流が津軽暖流です。津軽暖流の元をたどると、黒潮から分岐して、対馬海流をぬけ、日本海を流れる対馬暖流にさかのぼります。元をたどれば、黒潮にたどりつくので、津軽暖流は親潮の海域にひょっこり顔を出す暖流系の水です。

Fig2

図2: JCOPEによる9月26日の推測値。矢印は海面近くの流れ(メートル毎秒)、色は海面温度(℃)。

 

参考資料
北海道周辺の海流 (海上保安庁 海洋情報部)
津軽海峡の海流エネルギー (NHK)

 


親潮の現状

親潮の現状も確認しておきましょう。図3は、9月26日の海面水温が平年より高いか、低いか、を見たものです。9月4日号「親潮が記録的なあたたかさ」でおつたえしたとおり、今年は春から、親潮第一分枝第二分枝(図のO1とO2, 7月3日解説参照)にはさまれて、北海道南東に、平年より温度の高い(赤っぽい色)時計回りの渦(A)が居座っており、9月になってもそれが続いています(図3)。図3では、津軽暖流の位置も確認してみてください。

9月4日号で紹介した、親潮の面積(水深100メートルの水温5度以下の水の広がり, 赤線)で見ても(図4)、平年の季節変化(黒細線)のはるか下、通常の範囲(灰色の範囲)を超えてさらに小さい面積になっています。親潮面積が小さいということは、冷たい水(5度以下)の範囲が狭い、すなわち、親潮域があたたかいことを意味します。

Fig3

図3: JCOPE2による9月26日の海面での解析値。矢印は流れ(メートル毎秒)、色と等値線は 水温の平年(1993年から2012年の平均)との差(ºC)。

 

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図4: JCOPE2再解析データから計算した親潮面積の時系列(単位104 km2)。赤線が2014年から現在までの時系列。黒細線は平年(1993-2012年)の季節変化。灰色の範囲は平均からプラスマイナス標準偏差の範囲。

 

 


親潮に関する解説一覧はこちらです。
親潮の他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。
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美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。