2018年の5大ニュース

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黒潮親潮ウォッチでは2018年も様々なトピックを扱ってきました。黒潮親潮ウォッチの過去の記事一覧はこちら(リンク)で見ることができます。今週は、2018の話題を5大ニュースとして振り返ります。

1) 黒潮大蛇行が続く

2017年8月に始まった黒潮大蛇行は、2018年になっても続き、結局2018年は黒潮大蛇行が1年中続きました。1年間ずっと黒潮大蛇行だった年は約30年前の1987年までさかのぼります(「黒潮大蛇行の歴史」)参照。

黒潮親潮ウォッチでも多くの記事を書いており、「黒潮大蛇行記事のまとめ」で見ることができます。

2019年が始まっても、まだ黒潮大蛇行は続くと予測しており(黒潮予測記事)、 2019年も引き続きご注目ください。

2) 昨年までより親潮が強い

親潮の記事は親潮ウォッチとして書いてきました。

2018年の親潮は、2016年や2017年と比べると暖水渦で親潮の南下がさまたげられることはなく、親潮の勢力は強めでした。ただ暖水渦が存在しないわけではなく、場所により平年より温度が高いところと低いところが入り混じる複雑な状況でした。

親潮と関係の深い「磯口ジェット」と呼ばれる海流に関する研究のプレス発表も行いました([プレスリリース]深海底の緩やかな起伏が表層海流と海面水温前線を生む)。

3) JAXAと共同で新しい海洋予測を開始

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測研究センター(EORC)と共同で、日本付近の「海中天気予報」(海洋予測)を行う新しいシステム JCOPE-T DA を2018年に開始しました(「JAXAと共同で新しい海洋予測を開始」)。

JCOPE-T DAの開始にともない、黒潮親潮ウォッチの黒潮予測も、JCOPE-T DAによる短期予測(2週間先)とJCOPE2Mによる長期予測(2か月先)というスタイルになりました。

毎日更新されるJCOPE-T DAによる予測はJAXAが提供を開始した可視化サイトで見ることができるので、ご活用ください。

  1. 人工衛星「ひまわり」観測とJCOPE-T DAの比較するサイト
  2. JCOPE-T DAの水平分布と深さ(鉛直)方向の分布を可視化するサイト

4) 黒潮大蛇行の中、「地球深部探査船「ちきゅう」の掘削が続く

海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」は、国際深海科学掘削計画(※IODP: International Ocean Discovery Program)の一環として、紀伊半島沖熊野灘で、2018年の1~2月、10月~(2019年3月までの予定)の2回にわたり、掘削航海を行いました。

紀伊半島沖熊野灘は通常は黒潮が強く、難しい操船がせまられる海域ですが、2018年は黒潮大蛇行が続き、「ちきゅう」の掘削にとっては好条件でした。「ちきゅう」の航海と海流の様子については「ちきゅう」のための海流予測でお知らせしてきました。

前回の更新からしばらく間が空いていますが、「ちきゅう」は現在も掘削を続けています。黒潮大蛇行のおかげで、せいぜい1ノット程度の強くない海流が掘削地点で続いています。

5) 海洋予測の活用広がる

海洋予測の技術は、ウナギの生態系の研究([プレスリリース]過去20年の海流変動は日本にやってくるシラスウナギの数を減らしていた)や、考古学(インタビュー「スパコンで過去から未来を予測する海流スペシャリスト:宮澤泰正」)など様々な分野に活用が広がっています。

2018年に発刊された海洋研究開発機構・海と地球の情報誌 Blue Earthの特集海の“天気”予報を社会に活かすでは、様々な応用を紹介しています。pdfも入手できますので、是非ご一読ください。

メディアにも私たちの研究活動を多く取り上げていただきました(取材協力一覧)。


美山 透

海の変化は、漁業海運エネルギー天候など様々なことに影響します。海洋予測がもっと身近なものになるように、頭をしぼって書いています。