2019年6月27日までの黒潮「長期」予測(5月1日発表)

黒潮大蛇行は継続するでしょう。黒潮大蛇行を作っている冷水渦は東に移動する気配がなく、いぜんとして強さを保っています。

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

をおこなってます。

ここでは6月27日までのJCOPE2Mによる長期予測を解説します。長期予測では、黒潮大蛇行の予測がテーマです。

予測

図1・2は5月27日・6月27日の予測です。

東海沖の典型的な黒潮大蛇行が続くでしょう。典型的な黒潮大蛇行には(1)蛇行が大きい(2)紀伊半島・潮岬での離岸(3)八丈島の北を流れるといった特徴があります。

蛇行が大きいというのは北緯32度以南まで蛇行するというのが目安です[1]。流れを見ると、北緯32度を越えて黒潮が大きく蛇行しています(A)。予測では、大きな蛇行はまだ続きます。

黒潮は潮岬で離岸しています(B)。串本と浦神の日平均潮位差(気象庁)も小さいままであることから、離岸が継続していることがわかります[2]

黒潮は八丈島の北を流れています(C)[3]。今後も八丈島の北を通過する流路が続くと予測しています。八丈島の南を流れる流路が長期化、つまり大蛇行を作る反時計回りの渦が八丈島を越えて東に移動すれば、黒潮大蛇行が終わりに向かうことも考えられますが、そのような気配はありません。「黒潮大蛇行はまだまた続く!? (2019年春の状況)」もご覧ください。

九州東で離岸(小蛇行)が大きめになると予測しています。小蛇行の発達によっては黒潮の流路に大きく影響を与える可能性がありますが、先月の予測検証で見られるように、長期予測モデルは小蛇行を過大に予測する傾向があります。

図3は、4月25日から6月27日までの予測をアニメーションにしたものです。

黒潮の現状と短期の予測については黒潮短期予測をご覧ください。

Fig1

図1: 2019年5月27日の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面高度(メートル, 相対値)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

Fig2

図2: 同じく2019年6月27日の予測値。

 


図3: 2019年4月25日から6月27日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。

黒潮大蛇行を作る渦の強さ

図4は、黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標です[4]。黒太線が現在の推定値で、1月からほぼ横ばいが続いています。最新の予測(赤線)は、先週の予測(黒点線) と同様に5月からの下降を予測しています。ただし、長期予測モデルは下降を予測しすぎる傾向があります。また、たとえ予測通り下降したとしても、黒潮大蛇行はまだ強く、まだ長く続くと考えられます。

Fig4

図4: JCOPE2Mで推定と予測した冷水面積(東海沖水深1000mで水温3℃以下の海域の面積)の1日毎の時系列。黒潮大蛇行を作る冷水渦の強さの指標。単位は104平方キロメートル。黒線は観測を取り入れつつ推定した値。赤線が最新の予測で、青線が一つ前、黒点線が2つ前の予測(先週の予測)。参考のために、8月に大蛇行が終了した2005年の大蛇行の時の時間変化を薄い線で重ねた。


  1. [1]海上保安庁の用語の説明参照。http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/KAIYO/qboc/exp/yougo.html
  2. [2]串本・浦神潮位差については、2016/4/1号「潮岬への黒潮接岸判定法は?: 串本・浦神の潮位差」で解説したように、紀伊半島・潮岬で黒潮が接岸→潮位差大黒潮が離岸→潮位差小という関係があります。過去の串本・浦神潮位差の解説一覧はこちら
  3. [3]東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」のグラフで見ると、八丈島の潮位が高くなっており、黒潮が八丈島の北を通過していることを示唆しています。八丈島の潮位については、「黒潮が八丈島の南を流れているのをどうやって観測で確認するの?」で解説しています。八丈島の潮位の持つ意味は、解説「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」でもとりあげています。
  4. [4]図の見方は「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」を参照


JCOPE2Mは週2回の更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。