最近の水温と海面高度の状況(2019/10) 台風19号が近づく

最近の水温の状況

先月から今月にかけての日本水温の状況を見てみます。

図1は、9月6日と10月4日の海面水温の平年との差を見たものです[1]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。図2は、同じく9月6日と10月4日の、水深100mの図です。水深100mでも海面と同じ変化が見られれば、水温の平年との差が天気だけでなく海流の影響を受けている可能性が高くなります。

9月6日の後には台風17号と台風18号が日本海をぬけました。台風の影響もあり、日本海の南部は平年より低い海域が見られるようになりました(図1b, A)。

北海道から東北の東方沖で見られる平年より特に高い温度(B)は、海面(図1)だけでなく水深100m(図2)でも見られることから、海流の影響を受けていることがわかります。「親潮の水は沖合で断続的に (親潮ウォッチ2019/10)」で解説したように、黒潮からの暖水渦の影響です。暖水渦の間をぬけて冷水渦の形で親潮の水が入っているところでは平年より冷たい水も見られます(C)。

黒潮南岸沖では黒潮大蛇行による冷水渦があります(図1b D)。海面ではそれほどはっきりしませんが、海面下でははっきりと見えます(図1b D)。一方で、大蛇行の東側では黒潮が北上して岸に近づくので、関東から東海沿岸では平年より水温が高くなっています(図1,2 E)。

日本南方では平年より海面水温が高くなっています(図1b F)。今週末に日本に接近するという台風19号は、この上を通ってくることになります。

今後の日本周辺の水温については、姉妹サイトの「季節ウォッチ」も参考にしてください。

Fig1

図1: 海面温度の平年との差(℃)。[上段]2019年9月6日。[下段] 2019年10月14日。台風16,17,18号の経路を加えた。台風経路データはデジタル台風から入手した。

 

Fig2

図2: 水深100mの水温の平年との差(℃)。[上段]2019年9月6日。[下段] 2019年10月4日。

最近の海面高度の状況

図1,2にで見られたように黒潮大蛇行時には関東から東海沿岸で水温が上昇すると同時に、海面の高さも高くなり、高潮が起こりやすいと言われています。「黒潮大蛇行で浸水被害?」で解説しています。実際、2017年台風21号の時の東海地方の高潮の被害は、大潮とともに黒潮大蛇行も要因の一つとして考えられています(「2017/10/24放送・NHK総合「ニュースウォッチ9」台風21号による高潮」)。

図3は、9月6日と10月4日の海面高度の平年との差を見たものです[2]。平年より高い場所が赤っぽい色、低い場所では青っぽい色になっています。

9月6日(図3a)にあった小蛇行(A)は大蛇行の渦(B)に吸収され、10月4日(図3b)には大蛇行が強化されています(C)。その影響で、特に東海沿岸で海面高度が上昇していると推定しています(D)。

台風19号が近づくと予測されている今週末は、大潮の時期にもなっており、2017年台風21号の時と似た状況です。高潮や高波に十分な注意が必要です。

Fig3

図3: 日本南岸の海面高度の平年との差(m)。等値線の間隔は0.1m (10 cm)。[上段]2019年9月6日。[下段] 2019年10月4日。

  1. [1]この記事では、今年の値はJCOPE2Mを使っています。平年の値はJCOPE2M再解析の1993~2018年の平均を使っています。JCOPE2M再解析データは学術研究利用では無償で公開しています。
  2. [2]このモデルの海面高度は、気圧の効果や日射によって暖められて水が膨張するような効果は入っていません。また沿岸では十分な解像度はありません。黒潮大蛇行による傾向としてご理解ください。