5月23日から6月20日の予測を検証します

毎月月末は過去1ヶ月の予測を検証する予定です。今回は5月29日号の5月23日から6月20日までの予測を検証します。

図1上段は5月23日から予測した6月20日の黒潮の状態です。予測では、5月に九州東で発達していた黒潮小蛇行が、6月に下流に移動するとしていました(図1上段)。黒潮小蛇行が下流に移動するという予測は正解でした。しかし、少蛇行の進行は予測よりもゆっくりでした(図1下段)。

JCOPEは、東海沖で黒潮が八丈島の南を流れる非大蛇行離岸流路が継続するが、中規模渦などの影響で変動が大きく、八丈島に近づく時期があると予測していました(図1上段)。これは実際もその通りでした。ただ、中規模渦の下流への進行が早すぎ、八丈島に近づくタイミングは正確には予測できていなかったようです。

図2は5月23日から6月20日までの予測値(上段)と現実(下段)の比較をアニメーションにしたものです。

6月12日号で解説したように、八丈島付近の黒潮の動きは、海面高度を見ることでわかります。黒潮が本州に近づいて八丈島の北を流れれば、八丈島周辺の海面高度は高くなります。逆に、黒潮が八丈島の南を流れる離岸流路が発達すれば、八丈島周辺の海面高度は低くなります。では、図3で、予測と実際の変化を比較してみましょう。5月29日号の5月23日からの予測(青線)は、実際の変化(黒★)の変化のタイミングを、上で述べたように、うまく予測できていませんでした。しかし、この問題点は翌週以降の予測では改善され、6月12日号で解説した6月6日からの予測(赤線)は、黒潮が一旦離岸し(海面高度低下)、再び八丈島に接近する(海面高度)という現実の変化(黒★)を非常に良く予測していました。

図3の緑線は6月20日以降の最新の予測です。6月12日号解説の予測(赤線)とほぼ同様の予測ですが、黒潮の八丈島への接近はやや長引き、7月初頭まで続くと予測しています。その後、離岸が発達(海面高度が低下)した後、7月後半に再び八丈島に接近します(海面高度上昇)。その後、また離岸が発達(海面高度が低下)するという予測です。この予測が当たるか、来月以降検証していきます。

 

Fig6

図1: [上段]5月23日から予測した6月20日の予測値。[下段]観測値を取り入れて推測した6月20日の実際。

図2: 2015年5月23日から6月20日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。ク リックして操作して下さい。途中で停止することもできます。

Fig3

図3: JCOPEによる八丈島付近の海面高度の時間変化。単位はセンチメートル。黒★は観測値を取り入れた実際の変化の推定値。青線は5月29日号の5月23日からの予測値。赤線は6月12日号で解説したの6月6日からの予測値。緑線は最新の6月20日からの予測値。


JCOPEの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照下さい。
より専門的な分析に関しては Kuroshio/Oyashio Watch(英語)をご覧下さい。

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