毎月、過去1カ月の予測を検証しています[1]。黒潮大蛇行から大きく渦がちぎれて大蛇行の特徴を失う可能性を予測できていました。 |
予測と実際(長期予測)
今回は2020年9月30日号の、9月25日から予測した10月23日までの結果を検証します。
現在は3年2か月以上続いた黒潮大蛇行が終わっていると言える状態です(コラム「黒潮大蛇行が終わる!?」)。9月30日号では黒潮大蛇行から大きく渦Aがちぎれて大蛇行の特徴を失う可能性を予測していました。その予測は当たりました。さかのぼると9月16日号から黒潮大蛇行が終わる可能性を予測していました。
図1左は、9月25日から予測した10月23日の黒潮の状態です。図1右は、観測値を取り入れて実際に近いと考えられる10月23日の状態です。図2は、同じく予測値(左)と実際(右)の比較を、9月25日から10月23日までのアニメーションにしたものです。
ただ9月30日号で予測した渦Aのちぎれはやや早すぎ、その後の渦の遠ざかり方も大きすぎました。そのため、紀伊半島潮岬での接岸(C)が早すぎました。
小蛇行Dの存在のため、四国の室戸岬でも足摺岬でも大きな離岸が続くことも予測できていました。
図2: 2020年9月25日から10月23日までの予測(左)と実際(右)の比較のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。
黒潮大蛇行を作る渦の強さ(長期予測)
大蛇行を作る渦の強さを数値化するために、2018/3/14号「深海から黒潮大蛇行のこれからを予測する」で、深層の冷水面積(水深1000mの水温3℃以下の海域の面積)を渦の強さの指標として導入しました。長期予測モデルJCOPE2Mをアップデートし、指標を水温3.3℃以下に変更しています。
図3の点線は、2020年9月30日号の9月25日からの予測による1か月の冷水面積の変化です。渦がちぎれて遠ざかると予測していたので、低下を予測していました。実際はそれほど渦が遠ざからなかったので、あまり低下していません。
- [1]2017/7/12号「黒潮流路はどれくらい先まで予測できるのか」でも解説しているように、1ヶ月はある程度の精度をもって予測できる限界に近い長さです。毎月の検証では、限界に挑戦するため1ヶ月先の予測の検証をしています。仮に検証で1ヶ月先の予測が当たっていない部分があっても、たとえば1週間先の予測が外れ続けたという意味ではないことにご注意ください。↩