「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年2月25日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」は、黒潮大蛇行とその上流の蛇行の形をともによく表現できていました。伊豆諸島付近では複雑な流れになっています。

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」は、黒潮大蛇行とその上流の蛇行をおおむね予測できていました。蛇行の状態は安定傾向にあります。

短期予測

今回は

2021年2月26日までの黒潮「短期」予測 (2021年2月18日発表) で示した予測結果にほぼ対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年2月18日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果(緑線)は黒潮大蛇行について伊豆諸島付近を除いては海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。その後の短期予測(図2)でも

Fig2

図2 海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年2月23日。左上の数字は予測開始日を示す。

同様でした。予測解説でも説明がありましたが、JAXAひまわりモニタの画像(図3)を見ても伊豆諸島付近では複雑な流れになっているといえそうです。伊豆諸島付近では黒潮流軸が東に動いており、大蛇行の安定性という意味で今後が注目されます。

Fig3

図3 JAXAひまわりモニタの画像。2021年2月23日12:00-12:59。左: ひまわり衛星海面水温。右: JCOPE-T DA。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年3月30日までの黒潮「長期」予測(2021年1月27日発表)

2021年4月7日までの黒潮「長期」予測(2021年2月3日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図4)。

図3 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年2月18日。右:2021年2月23日。左上の数字は予測開始日を示す。

黒潮大蛇行とその上流側の小蛇行をおおむね予測できていたといえます。蛇行状態の大きな変動がないため予測精度も比較的安定しています。「短期」予測に比べると四国沖から紀伊半島にかけては流軸がやや北上しています。上流側の蛇行は、海洋速報を見ても少しづつ下流側に移動しているようです。大蛇行の流軸は、海洋速報においても伊豆諸島に接近しつつある様子が見てとれます。