「海洋速報」黒潮流軸とモデル予測の比較(2021年3月10日)

ポイント1. 黒潮流路「短期(10日)予測」では、黒潮流軸が四国沖で離岸していく傾向がみられました。

ポイント2. 黒潮「長期(1か月)予測」では、先週の検証に引き続き、黒潮大蛇行の先が南西向きに伸びていく傾向が続いています。

短期予測

今回は

2021年3月11日までの黒潮「短期」予測 (2021年3月3日発表)で示した予測結果にほぼ対応している結果(JCOPE-T DAモデルを紹介)について示します。まず現況予測結果を図1に示します。

Fig1

図1 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年3月3日。左上の数字は予測開始日を示す。

現況予測の結果(緑線)は黒潮大蛇行について海洋速報の結果(黒線)をほぼ再現できていました。4日後の図2を見ても同様です。海洋速報では黒潮流軸は伊豆諸島の西で安定しています。モデルでも伊豆諸島の東に極端に動く傾向はみられていません。

Fig2

図2 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE-T DA黒潮流軸(緑線)。2021年3月7日。左上の数字は予測開始日を示す。

四国沖では黒潮流軸の予測が南東方向に動く傾向がみられました。海洋速報の流軸も徐々に南東方向に動いているようですが、モデルの黒潮のほうがより南東方向に動いています。

長期予測

次に、長期予測(JCOPE2Mモデルの結果を紹介)

2021年4月15日までの黒潮「長期」予測(2021年2月10日発表)

2021年4月23日までの黒潮「長期」予測(2021年2月18日発表)

におおよそ対応する結果の予測を見てみます(図3)。

図3 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。左:2021年3月3日。右:2021年3月7日。左上の数字は予測開始日を示す。

予測された大蛇行の先は海洋速報よりも西側にとびだすように伸びています。先週の検証からこの傾向は続いています。

Fig4

図4 「海洋速報」黒潮流軸(黒線)とJCOPE2M黒潮流軸(色線)。2021年2月11日。左上の数字は予測開始日を示す。

予測計算を開始したときの状態(予測の初期値)を見てみると(図4)、海洋速報流軸との極端な違いはみられず、予測計算をしている間に黒潮大蛇行が南西方向に伸びる傾向が生じていたことがわかります。今後、予測の間違った傾向を見てそうならないように初期値を修正していく新しいやり方を試してみたいと考えています。