2022年6月1日までの黒潮「長期」予測(2022年3月30日発表)

黒潮大蛇行が始まって約4年8か月目に入っており、過去最長期間に並んでいます。大蛇行から渦がちぎれたことで典型的な「ひ」の字型の流路が崩れていますが、再び「ひ」の字型の流路が回復して、黒潮大蛇行が継続すると予測しています。

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは6月1日までのJCOPE2Mによる長期予測を解説します。長期予測では、黒潮大蛇行の予測がテーマです。

予測

図1は2022年3月23日の状態の推測値、図2・3は4月23日・6月1日の予測です。

2月に黒潮大蛇行から渦(A)がちぎれて、現在の黒潮は図1のような状態になっています。黒潮大蛇行の典型的な「ひ」の字型の流路ではありませんが、黒潮大蛇行が継続している状態です。詳しくは最近の黒潮大蛇行と5月12日までの「長期」予測の解説をご覧ください。

渦がちぎれた後の大蛇行の残り(B)は八丈島(赤点)の東に消えていく一方で、四国から九州東にある離岸(C)が東に進んで代わりの大蛇行になってくるという予測になっており、「ひ」の字型の流路に戻りそうです(図2)。2月にちぎれた渦(A)は九州南東で黒潮にくっつき吸収されると予測されています。先週の予測のように大蛇行から再び渦がちぎれるということもなく、大蛇行は継続すると予測しています(図3)。

2017年8月に始まった黒潮大蛇行は今月で期間が約4年8か月目に入っており、観測史上最長の1975-1980年の黒潮大蛇行と並んでいます(「黒潮大蛇行の歴史」参照)。来月に過去最長の黒潮大蛇行になるでしょう。

図4は、2022年3月23日から今年6月1日までの予測をアニメーションにしたものです。

fig1

図1: 2022年3月23日の推測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面水位(メートル, 相対値)。赤丸()が八丈島の位置。海面高度が低いところは海面水温が低いおおまかな関係があります。

 

fig2

図2: 図1に同じ。ただし4月23日の予測値。

 

fig3

図3: 図1に同じ。ただし6月1日の予測値。


図4: 2022年3月23日から6月1日までの予測のアニメーション。クリックして操作してください。途中で停止もできます。




JCOPE2Mは4日毎に更新を行っています(解説参照)。JCOPE2Mの他の予測図についてはJCOPE のweb pageでご参照ください。図の見方は連載: JCOPE2解析・予測画像の見方で解説しています。