2023年3月28日までの黒潮「短期」予測 (2023年3月9日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 3月20日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年3月8日・3月18日・3月28日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図2~3)。

四国・足摺岬(D)で黒潮が近づいており(図1)、さらに近づいた後(図2)、離れていく予測です(図3)。

四国・室戸岬沖(E)では離岸していますが、まずは南から(図1~2)、次に東側から(図3)暖水が近づく予測になっています。

図4は3月8日午前9時から3月28日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年3月8日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年3月18日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年3月28日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年3月8日午前9時から3月28日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 大きく北上する黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、日本東方の3月7日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。

黒潮は通常は銚子付近で日本を離れ、太平洋を黒潮続流として東に進みます。しかし現在は岸沿いに福島から宮城県付近まで北上し、そこでようやく日本を離れています。このため北関東から南東北沖では平年よりもかなり水温が高くなっています。

Fig5

図5:3月7日午後9時の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温(色)とモデルによる流れ(矢印) (①で指定)。水温の色の幅は-2~31℃とした(②で指定)。