2023年4月5日までの黒潮「短期」予測 (2023年3月17日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 4月5日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年3月16日・3月26日・4月5日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図2~3)。

四国・足摺岬(D)で黒潮が離れていますが、一部暖水は近づいており(図1~2)、黒潮も近づく予測です(図3)。

四国・室戸岬沖(E)では離岸していますが、南から暖水が近づく時期があると予測しています(図1~2)。

図4は3月16日午前9時から4月5日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年3月16日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C)。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年3月26日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年4月5日午前9時の予測値。

 


図4: 2023年3月16日午前9時から4月5日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。


今週のハイライト: 黒潮大蛇行の位置

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は、日本東方の3月16日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。

黒潮は蛇行は紀伊半島の南で大きく蛇行しており、黒潮と紀伊半島の間の冷水塊は南北に長く延びています。通常黒潮大蛇行が終わる時は、この冷水塊が伊豆諸島の位置に移動し、さらに伊豆諸島の東に移動します(「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」参照)。しかし、冷水塊は現時点で伊豆諸島のかなり西に位置しており、黒潮大蛇行が終わる気配はありません。

Fig5

図5:3月16日午後3時の人工衛星「ひまわり」観測による海面水温(色)とモデルによる流れ(矢印) (①で指定)。水温の色の幅は15~23℃とした(②で指定)。