高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、
- JCOPE-T DAによる短期予測(20日先)
- JCOPE2Mによる長期予測(2か月先)
を行っています。
ここでは 4月5日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。
現状と予測
図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年3月16日・3月26日・4月5日の黒潮の状態です。水位0.3mの位置に太線を黒潮の流軸の推定値として加えています。
黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。
大蛇行はS字カーブを描いて北上しています。蛇行のくびれが大きくなってくると予測しています(図2~3)。
四国・足摺岬(D)で黒潮が離れていますが、一部暖水は近づいており(図1~2)、黒潮も近づく予測です(図3)。
四国・室戸岬沖(E)では離岸していますが、南から暖水が近づく時期があると予測しています(図1~2)。
図4は3月16日午前9時から4月5日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。
図4: 2023年3月16日午前9時から4月5日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。
今週のハイライト: 黒潮大蛇行の位置
JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。
図5は、日本東方の3月16日の人工衛星「ひまわり」観測による水温と、モデルによる流速の推定値です。
黒潮は蛇行は紀伊半島の南で大きく蛇行しており、黒潮と紀伊半島の間の冷水塊は南北に長く延びています。通常黒潮大蛇行が終わる時は、この冷水塊が伊豆諸島の位置に移動し、さらに伊豆諸島の東に移動します(「黒潮大蛇行が終わる時: 2005年の場合」参照)。しかし、冷水塊は現時点で伊豆諸島のかなり西に位置しており、黒潮大蛇行が終わる気配はありません。