2023年10月14日までの黒潮「短期」予測 (2023年9月29日発表)

高分解能予測JCOPE-T DAの開始にともない、

を行っています。

ここでは 10月14日までのJCOPE-T DAによる短期予測を解説します。短期予測では、黒潮の沿岸への影響がテーマです。

現状と予測

図1・2・3はJCOPE-T DAで計算した2023年9月24日・10月5日・10月14日の黒潮の状態です。

黒潮大蛇行(A)が続いています(長期予測も参照)。

A、B、Cと流れるS字カーブの蛇行は現在でも大きいですが、さらに強まるり(図2) 、その後に緩和されると予測しています(図3) 。黒潮が八丈島に近づく可能性があります(図3) 。

四国付近(D)では、黒潮が足摺岬から足摺岬と室戸岬の中間ぐらいで四国に近づいています(図1、図5も参照) 。北上部は次第に西に移動すると予測しています(図3) 。

駿河湾や相模湾など水温が高くなっていますが、秋に向けて全体的に次第に水温は下がってきます(図1~3) 。

図4は9月24日午前9時から10月14日午前9時までの予測のアニメーションです。JCOPE-T DAは潮の満ち引きも計算しているので、1時間毎の図でアニメーションにしています。

Fig1

図1: 2023年9月24日午前9時の予測値。矢印(ベクトル)は海面近くの流れの向き(メートル毎秒, 長いほど速い流れ)、色は海面温度(°C) 。1度毎の等温線も薄く加えた。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。青丸()が八丈島の位置。クリックすると拡大します。

 

Fig2

図2: 図1に同じ。ただし2023年10月5日午前9時の予測値。

 

Fig3

図3: 図1に同じ。ただし2023年10月14日午前9時の予測値。


図4: 2023年9月24日午前9時から10月14日午前9時までの1時間毎の予測のアニメーション。黒太線は日平均海面水位0.3mの等値線で、黒潮流軸の指標。クリックして操作してください。全画面表示にしたり、途中で停止したりできます。

 


今週のハイライト: 四国近くの黒潮

JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイト (「JAXAひまわりモニタ・海中天気予報のサイトがリニューアル」)から特徴的な図を毎週紹介します。黒潮親潮ウォッチは1週間に一回の更新ですが、海中天気予報のサイトではほぼ毎日予測が更新されます。

図5は9月29日の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値とモデルによる流れのの推定値です。

水温と流れから、黒潮が足摺岬から足摺岬と室戸岬の中間ぐらいで四国に近づいていることがうかがえます。

Fig5

図5:9月29日午後6時の人工衛星「ひまわり」による海面水温の観測値(色)とモデルによる流速推定値(矢印、①で指定)。色の幅は25から31℃に設定した(②で指定)。