毎月月末は過去1ヶ月の予測を検証する予定です。今回は7月31日号の7月25日から8月22日までの予測を検証します。
図1上段は、7月25日から予測した8月22日の黒潮の状態です。先月の段階ではまだ接岸流路であった黒潮が、離岸流路に移行すると予測していました。その予測は現実とよく合っていました(図1下段)。いったん黒潮が伊豆諸島沿いにS字型に蛇行して北上することも、暖水渦が西にちぎれる形の解消も、予測が現実よりも若干早かったものの、予測できていました。
一方、予測では小蛇行2は四国・足摺岬付近に存在するとしていました(図1上段)。しかし、実際には小蛇行2は紀伊半島・足摺岬(図1下段)を東に通過しています。7月31日号の予測で「小蛇行2が下流に移動する時期は予測するたびに異なっており、確かな予測をするのは難しいようです」と推測していた通り、この小蛇行の動きの予測は難しいものでした。
図2は7月25日から8月22日までの予測値(上段)と現実(下段)の比較をアニメーションにしたものです。
図2: 2015年7月25日から8月22日までの予測(上段)と実際(下段)の比較のアニメーション。ク リックして操作して下さい。途中で停止することもできます。
伊豆諸島沿いのS字型の北上について観測を確認してみましょう。8月14日号で、黒潮が離岸流路になりつつ、伊豆諸島沿いにS字型に蛇行しながら北上している証拠として、八丈島での潮位は低下した一方、三宅島での潮位は高いままであることを解説しました。東京大学大気海洋研究所の「潮位データを用いた黒潮モニタリング」から、その後のデータを確認すると(図3)、三宅島の潮位は低下しています。これは、8月14日号の、S字型蛇行の解消とともに三宅島の潮位が低下するという予測の通りでした。
参考資料:
海上保安庁は黒潮が八丈島の南を通る流路になっていることを8月25日に発表しています。
海上保安庁「本州南方の黒潮流路について」(2015年8月25日)