2023年の5大ニュース

5news

黒潮親潮ウォッチでは2023年も様々なトピックを扱ってきました。黒潮親潮ウォッチの過去の記事一覧はこちら(リンク)で見ることができます。2023年の話題を5大ニュースとして振り返ります。

1) 記録的な高水温の年

下の2-4で紹介する海洋状態に加えて、猛暑の夏、暖冬の冬と続いたため、今年の日本周辺の水温の高さは記録的でした。図1は1993年から2023年までの日本周辺年平均海面水温の時系列です。今年2023年が最も水温が高い年です。

参照:「秋の日本の平均気温と日本近海の平均海面水温の記録的な高温について~平均気温は3季節連続、平均海面水温は2季節連続で記録更新~」 (気象庁, 2023/12/1)

fig1

図1: JCOPE2M再解析による1993年から2023年までの日本周辺(東経122~150°、北緯23~46°)年平均海面水温の時系列。横軸が年。縦軸が水温(℃) 。

2) 黒潮続流の極端な北上

黒潮は、通常は房総半島付近で日本列島を離れ、黒潮続流として東に太平洋を流れます。しかし、今年は東北沖まで黒潮続流が北上していました(「黒潮続流の北上が続く(親潮ウォッチ2023/12) 」など)。そのため、東北沖は記録的に高温で、海洋熱波が続きました。その状態は現在もまだ続いています(「最近の海洋熱波・寒波(2023/12) 記録的な高水温続く」) 。

参照:「三陸沖の海洋内部の水温が記録的に高くなっています」(気象庁、2023年8月9日)

3) 日本海の水温が高く、大雪の一因か

日本海の温度も高くなっています。昨冬もこの冬も大雪が降っており、日本海の水温が高いことは大気の要因と共に日本海側の大雪の一因になっている可能性があります(「最近の海洋熱波・寒波(2023/1) 大寒波に先立つ高海水温」など)。日本海の水温が一因として対馬暖流が強く、暖水が日本海に流入したことが考えられます。実際、昨年から今年にかけて対馬暖流は平年よりかなり流量が多かったです(図2) 。

Fig2

図2: JCOPE2Mで推定した対馬暖流の流量。青線と赤線が2022年と2023年の1月から12月の月平均流量。黒線が平年(1993~2020年)の1月から12月の月平均流量。黒の縦線は標準偏差。

4) 黒潮大蛇行が6年を超え、今も続く

2017年8月に始まった黒潮大蛇行は6年を超え今年も続きました。現段階では終わる徴候は予測では出ていません(黒潮長期予測を参照)。「黒潮大蛇行が始まって6年に」の記事では6年強の黒潮大蛇行の経緯をアニメーションで振り返っています。

5) hotspot2研究プロジェクトが最終年度

hotspot2研究プロジェクトがスタート」で2019年に紹介したhotspot2研究プロジェクトは今年度が5年計画の最終年度です(2024年3月まで)。5年間の間に多くの観測が行われ、成果が得られました。成果の一つは「[プレスリリース] 黒潮・メキシコ湾流の渦・流れの長期予測に成功」で紹介しています。hotspot2のサイトでは、用語解説研究紹介動画なども公開していますので、是非ご覧ください。